Tournament article

ダンロップフェニックス 2014

松山英樹が単独首位に

フェニックスの最終ホールはまるでそこだけ、彼らが主戦場にしている米ツアーさながら。まずは、松山の残り240ヤードの第2打。4番アイアンで打った瞬間、なぜか顔をしかめた松山。その厳しい表情とは裏腹に、ボールはどんどんとカップに寄って行く。「そんな、240ヤード先の転がりまでイメージなんて出来ないですよ。ただイーグルパットは打ちたいなと思って打った」と、本人は至ってクールでも、沸き起こった大ギャラリーの拍手と歓声は熱かった。

あわや、カップインのスーパーショット!
しかし、宮崎のゴルフファンは、このあとさらに度肝を抜かれることになる。

続いて、スピースの2打目もまた凄かった。
後半から、もうひとりの同伴競技者の藤本佳則が左肩痛のため、途中で抜けて、そこからはまるで2人の一騎打ちさながらの伸ばし合いも、ついに最終ホールを迎えて、18番のティショットを打つ前に、笑顔で話し合った。

「明日も、一緒に回りたいね!」。

だがその時点で松山とスピースは2打差あり、「計算したら、ジョーダンはイーグルが必要で。取れるのかなあ」と内心、松山には半信半疑も「最後、ほんとに取っちゃうから凄いな」と、239ヤードの2打目をユーティリティアイアンで、自分のさらに内側につけてきたスピースには感心しきりでも、いや、それはお互いさまでしょう!

「いや、ジョーダンのほうが、凄いですよ」(松山)。
「僕も5メートルくらいのイーグルパットを打てればと思ってはいたのだけれど。Very excitingだったね!」(スピース)。
「スピースは、体調が悪いみたいで、それでもこんなにスコアを伸ばしてくるのが凄い」(松山)。
「ヒデキは前から、パットが凄く上手い選手だとは思って見ていたが、ショットも凄く良くなってきている」と、互いに興奮しきりで健闘をたたえ合い、2人の筋書き通りに、まずは揃って3日目の最終組を実現させた。

週末は、ワールドクラスのV争い。
「週末もヒデキは良いプレーをするだろうからタフな戦いになるだろうが、相手はかなり限られてきて、明日からさらに自分のプレーに集中出来る」とスピース。
松山は、日に日にグリーンのタッチも日本仕様に合ってきて、「今日は長いのも3つ入った」と5番や思わずガッツポーズを握った11番や、12番の長いバーディトライは及第点でも、「短いチャンスを外しているところもある」と納得はしていない。

14番では、右の林に打ち込んだティショットも運良く転がり出てきて1メートルのバーディを奪ったが「あんな球を打っていたら崩れるかもしれない」と、ラッキーだけで片付ける気持ちにはとてもなれない。
「ジョーダンは凄いけど、感心しているばかりでは負ける。自分も相手を感心させるくらいのプレーが出来たらいい」と話す松山の心の内には、ホストプロとしての使命がある。
前週の金曜日から宮崎に乗り込んで、調整や準備に時間を割いてきたのもそのためだ。
「成績を出すことが一番の恩返しなので。この試合に勝つことしか考えていない。それに向けて、残り2日目もこの順位で行ければ最高です」。
相手がどんなに強敵でも頂点は、絶対に譲れない。

関連記事