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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2014
藤田寛之は孔明に敗れる
早朝は、霜によるコースコンディションの不良で、スタート時間が1時間も遅れる冷え込みも、「今日は肩の重さはほとんどなかった。今日はそこじゃなかった。技術ですかね」。
この日はきゅうきょ、パターをマレット型に変えても、状況は変わらなかった。「パターじゃないということも教えられた」と、相変わらず自分に厳しく、「45歳なので。いろんな手間がかかったり、ジャマが入ったりしますけど。また新しい自分に生まれ変わらなくてはいけないし」と、まだまだ尽きぬ向上心だ。
藤田を押さえて初の賞金王に輝いた孔明。「藤田さんは最強の40代選手」と称えた。「遼や英樹がアメリカに行っている中、あの歳でツアーを引っ張ってもらってる。僕ら30代も頑張らないと、という空気が生まれた」とその存在にこそ、共に賞金レースを戦った同じ30代の近藤や岩田ら、自分たちの頑張りも引き出されたと孔明は感じている。
また今年最後のチャンピオンに輝いた弟弟子。「藤田さんと一緒にまた、大会4勝目を狙っていきたい」。
弟弟子の優勝スピーチを、例のごとく動画におさめていた兄弟子は小さく悲鳴をあげた。
「いや、僕はもういいでしょう。トメちゃん(宮本の愛称)こそ次は4連覇で、僕の記録を塗り替えて」。
「またあの人は」と宮本は感無量で「かっこいいことを言う」。
同一大会で3年連続して勝つことなど、超人技だ。
それをやってのけた兄弟子が、宮本の誇りでもある。
今年は、肩の痛みに苦しみながらも最多の年間3勝をあげて、獲得賞金1億円超えは、自身3度目。そして最後まで、賞金レースの主役を張った。
「確かに・・・大したもんですね」と、いつも自分に厳しい選手が、最後にやっと自分を褒めた。
「今年はよく分からないシーズン。天気で言うなら晴れたり、豪雨が降ってきたり・・・。でもずっと雨じゃなかっただけ良かったのかな」と、ぽつりと今はとにかく早く、ケガを治すことが先決だ。
「明日は医者に行ってきます」。
午後から都内のホテルで行われる年間表彰式を前に、精密検査を受けてくる。正式な診断が出たら「ちょっとゆっくり休みます」と言ったがこの人は、実際どうだか・・・。
まさに驚異の45歳の1年もひとまず終わった。