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つるやオープン 2014
藤田寛之は2打差からにらむ大会3勝目
梅原敦さんと、昨シーズン限りで15年来のコンビを解消した。「本当に頼りにしていたので。哀しい出来事」と嘆いた藤田にさらなる追い打ちは、開幕間近になっても、次の専属キャディ候補の応募がほとんどなくて、「俺ってこんなに人気がなかったのか・・・」と、傷心の春を迎えた。
「いや、藤田さんが大物過ぎるからです」とは、今週バッグを担ぐ清水重憲さん。2007年に男女の賞金1位を担いだ凄腕さえ「僕だってビビってますもん」と、一昨年の賞金王に敬意を表したが、藤田には改めてプロキャディのありがたみを痛感する今週となった。
練習日も含めて“臨時タッグ”はこれで4日間が過ぎたが「清水さんの仕事はすごく的確で。選手を動揺させる瞬間が、これまで一切たりともないので」。
藤田は「清水さんは、仕事の逃げが一切ない」とも。たとえば、この日は最後の18番で、148ヤードの2打目は「打ち上げのフォロー・・・。8番でいいよね?」。
「いいんじゃないですか?」と、即座に回答が返ってきた。「いや、本当にいいですよねえ。清水さんは、いろんな選手を担いできているから」。安心してプレーに没頭出来る。
ここ数年はメジャー出場という高いハードルをあえて自分に掲げて、オフは相当に自分を追い込んできた。昨2月の肋骨骨折はパワーを追い求め、自分にはないものさえ貪欲に取り入れようとした末のケガでもあった。
今年はいったんひと息ついて、「10年、20年前の自分に戻した。トレーニングや練習法も。自分自身を見つめ直す時間はたっぷりあった」と原点回帰の春。
2010年と2012年大会のチャンピオン。2年ぶり3度目のチャンスは、「そういえば今年はそういう年回り」と、まんざらではない。首位と2打差の3位タイから追いかける最終日。「このコースは、今日終わって何打差あっても変わらない。最後の4、5ホールでいかようにも変わるので」との余裕は、山の原を知り尽くしているからこそ。