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フジサンケイクラシック 2014

池田勇太は「単独首位に立っちゃった」

3日目にして単独首位に立ったというよりは、本人の意識では「単独首位になっちゃった」。この日は1番、3番で幸先よくバーディ先行で「これで今日は気持ちよく、ちゃちゃっと行ける」と目論んだのもつかの間だった。
5番でボギーを打ってからは「地獄のようなゴルフ」。

バーディチャンスにもつかない。「6番から7番、8番、9番と、じっと我慢していたのに」。10番でアプローチを手前にショートして、「絵に描いたようなボギーを打った。カッカ来て」。そのまま打ったら、次の11番ではティショットを左のラフ。「ああもう、今日はこんなもんだと諦めて、おとなしく、ゴルフをしよう」と、本人の達観とは裏腹に、残り60ヤードの3打目は、打ち上げのカップに「ガコン!」。派手な音がして、入ったと分かった。その瞬間の勇太は、まさに鳩が豆鉄砲を食らったように、唖然呆然。グリーンで一度跳ねたボールはその勢いのまま、カップに飛び込むチップイン。

切れかけた流れを一気に引き戻した。そのあとも、14番で「ドツボの波々バンカー」に入れたり、16番のバンカーではボールの後ろに石があったり、17番では入ったと思ったイーグルパットがカップに蹴られたり、本人には散々な内容も、その17番は手前のバンカーからのアプローチは絶妙だった。
前半は3番も、ピンのすぐ下のバンカーから見事な寄せ。

確かに、自分は一杯一杯のゴルフをしている間に、首位を走っていたI・H・ホが1日2つのダブルボギーで自分から崩れていったから、「勝手になっちゃった」という気持ちも分からないでもないが、本人の見立てよりも格段に、味のあるゴルフで単独首位につけた。

高校時代に初めて出場したプロの試合がこのフジサンケイクラシックということで、「勝ちたい試合。今週も勝ちに来た」と、狙いにきた大会で、3日間とも60台を並べて首位に立ったからには、「勝ちきらなきゃいけない」と、気持ちも引き締まる。

一方で「あんまり自分でこだわりすぎると、視野が狭くなって、良くないから。明日は、どう自分をコントロールしていけるか」。勝負師が、最終日に向けて、虎視眈々と作戦を練り始めた。
「明日は、もう1日60台を出すとか、自分で何か1個どういう目標を持って、朝のティグラウンドに立てるかだね」と、思案顔でただひとつ現時点で言えるのは、「2桁で勝てたら格好いい」。今季初Vは、勝ち方にもこだわる選手会長だ。

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