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Indonesia PGA Championship 2014

松村道央が逆転V!

最終日は波乱の展開。午後から雷による3時間近くの競技中断の隙をつき、一躍首位に躍り出たのはこの日、最終組の8つも前から出た豪州人。ライン・ギブソンがなんと1日10アンダーをマーク。「距離感があって、ピンにほとんど寄るショットが出来た」と、62で回ってゴボウ抜き。
「初日から3日間は難しくてなかなか良いプレーができなかった」と最終日もほとんど“圏外”の17位タイから出ながら、「今日は爆発できてよかった」と、いち早く通算20アンダーにして、後続組のプレーを待った。

一方の松村は対象的に、出だしから蹴つまづく。1番でボギー。6番ではダブルボギーに、せっかく1打差の2位タイと、日本勢としてはもっとも優勝に近い位置からスタートしながらずるずると後退。今年もまた日本勢の優勝はないのか・・・。

しかし、当の松村は初日に65を出した時から、頂点しか見ていなかった。「最初から狙っていた」と言った。初志貫徹。一時は首位から突き放されても、最後まで諦めなかった。
競技の再開を契機に、たちまち息を吹き返した。ギブソンを猛然と追いかけた。

特に、上がりの3ホールは圧巻の3連続だった。
17番は、7メートルのバーディトライがカップに沈むと思わず飛び出たガッツポーズに力がこもる。ついにギブソンを捉えた。首位に並んだ。日没が迫るジャカルタの夕焼けをバックに最終ホールを迎えた。
18番のパー5では特に、「緊張しないように。景色を眺めるようにした」と、プレッシャーとうまく向き合い最後は3メートルのバーディチャンスも逃さなかった。自身のツアー4勝目は土壇場でも、「しっかりとバーディを獲ることを学べた」と、泰然自若で掴んだ劇的な逆転Vだった。

師匠にも良い報告が出来る。今年も谷口徹の宮崎合宿に参加する中で、特にお手本にしたのは体のコンディションの整え方。オフはただ、やみくもにラウンドを重ねるというよりももっと大事なこと。
トレーニングにも例年以上に力を入れて、ドライバーの飛距離が15ヤード前後は伸びたという確かな実感もある。
「今日はすごくゴルフに集中できて。ゴルフ人生の中でも特に、たくさんのことを学んだ優勝になりました」。この1勝で一皮剥けた30歳は「今は幸せな気持ちで一杯です」。ジャカルタの夕日に包まれながら、喜びを噛みしめた。

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