Tournament article
HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2015
後輩のカムバックに燃えた!! 谷原秀人が単独首位に
ただし、谷原の場合は、圧倒的なあの飛距離ではなくてパット。しかも、長尺から短尺に挑戦中のアダム本人ではなくて、そのお取り巻きから仕込まれた。
この日は特に、上がりホールで火を吹いた。
立て続けに長いのを沈めた。17番で8メートルをねじ込み最後も7メートルのバーディトライ。ショットも、先月から好調で攻守共に揃えて、2位と2打差の単独首位に踊り出た。
パットの指導を受けたのは、アダムと一緒に来日したスコッティキャメロン社のポールさん。米ツアーでは、ポールさんを知らない選手はいないというほどの有名なクラフトマンで、道具のみならずパット技術にも造形が深いという。
昨年は、3年連続で平均パット1位に輝いた巧者も「最近、カップに届かないことが多いんだよね」と、練習日にふとポールさんにこぼしたところ、バックスイングをせずに、いきなりフォロースルーだけで打つ練習法を教えてくれた。
アダムが残していってくれたお土産が、いまごろ効いてきた。
この日は後輩のカムバックにも、心が燃えた。東北福祉大の11歳下の後輩は、スタートからボギー、ダブルボギーと立て続いて、一度はリーダーボードから消えたはずだった。
それが「いつの間にか、また来てる。俺も頑張らないと!」。14番では、52度で打った105ヤードの2打目が入りかけ! ピンそばのバーディで後輩もろとも2位以下を突き放して、今季初の最終日最終組は、その後輩との直接対決。
藤本は、普段からいつも一緒に行動している可愛い弟分でもあり、「あいつは俺と回るといつも良くない」と、それを藤本自身も自覚しており、「明日は谷さんの優勝を間近で見守ります」というけなげな後輩に「それでいいんだよ」と、おどけて笑ったが、本音は違う。
「あいつすぐにシュンとなるから。途中から、励ましたりすることもある。・・・なんで俺が、気を遣わないといけないんだか!」。
谷原も藤本も、3年ぶりの勝ち星がかかっている。藤本は「僕か谷さんが勝てればいいし、谷さんに負けるのなら悔しくはない」と、どこまでもしおらしいが、「そんなことを言って、藤本に逆にやられちゃったらどうしよう?」。
最終日は、先輩にとってはなおさら、難しい駆け引きになりそうだ。