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THE SINGHA CORPORATION THAILAND OPEN 2015

今週はクラブ職人!? 高山忠洋は全英にむけてタイで好感触

最終日はスタート前から空がゴロゴロ・・・大丈夫かなあ?
教科書どおりの美しいスイングで、観衆を魅了するのは確かに理想ではあるが、プロゴルファーにとってそれ以上に大切なのは、その場に合わせた対応力。国外でこそ、問われるもの。

先週の日本ツアーから、いきなり飛び込んだ灼熱地獄は、まず暑さとの戦い。そして2日目からゲームは中断続きで、「時間のない中で、スコアを作っていかなければならないのは大変だった」。
途切れがちな集中力の中で、日本では経験できない芝質にも応じていかなければならない。

「初日は考えすぎた」。イーブンパーで出遅れた。
「2日目からは、感性のまま。深く考えすぎないで、見た目どおりに打っていく」。

日本から持ってきたアイアンでは、戦えないと感じたのは火曜日だ。
「日本仕様のアイアンでは、ここのバミューダ芝に対応できない」。しかし異国の地では、バンスの調整もままならず、ならば自分でやろうと高山は思った。

道具は日本から持ってきた紙やすり。キャディさんにも手伝ってもらって、夜通し地道にこすり続けた。「1日毎日3時間」。慣れない作業のキャディさんにはとうとう手に血まめが出来た。そんな夜を3日間過ごして、なんとか本番までに間に合った。
まさに“お手製”のアイアンは、日に日に感覚も馴染んで、来月に控えた全英オープンの、良い予行演習にもなった。

日本予選をかねた2週前のミズノオープンで、権利のある3位タイに入って自身4度目、セント・アンドリュースは初出場の2005年から数えて10年ぶり2度目のまさに“聖地”を控えて、ここタイでも「状況に応じて対応できた。自分の感性を、引き出せていけたのは良かった」と、順位以上の大きな収穫。

もっとも、そろそろ結果も欲しい。「今年は上位で戦えていると思うけれど、優勝争いには入れていない。ここ何試合か、物足りないのが続いているから。もうひとつ、上の戦いを目指したい」。2011年から見放された勝ち星は、所属先が変わり、用具契約も変わって、それからの優勝はまだない。
スターツや、本間ゴルフ。「お世話になっている方々に、喜んでいただけるような。今年は新しい1勝を目指しているから」。クラブ職人は、ひたすら恩返しの励む。

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