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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2015
3位タイの藤田寛之「もう46歳なんですが・・・」
今季は、日本ツアーですでに予選落ちが5回。前日の予選ラウンドも「僕ら選手にとって、優勝争いで負けるよりも怖いのが、2日目に帰ること」。初日からバーディ合戦が繰り広げられる中で、2アンダーと出遅れて、今週もまたダメかとおびえながらスタートの10番から出た2日目もまた、「ボギー、パー、ボギー」と、足がもつれた。
特に12番では、今年すでに10回出ているというシャンクをまた打って、「いま取り組んでることが、バカらしくなった」と、珍しく投げやりに。もういっそ諦めて「自分の好きに打とうと思った瞬間から、良くなりました」というから、ゴルフって分からない。
「自分がもともと持ってるものは、こうやったら、こうなんだよなと思いながらやったらこうなりました」と、いきなりボギーなしの8アンダーを出して、3位タイに浮上。
「なんで良くなったのか・・・。分かってないので期待できない。昨日まで、予選がどーのこーの言ってた選手がいきなり優勝争いしているんですから」と、本人にも雲を掴むような話だ。
2週前のミュゼプラチナムオープンの会場は、兵庫県のジャパンメモリアルゴルフクラブだったことから関空からイギリスに飛び、今週の火曜日にはまた、関空に帰ってきた。
そこから飛行機を乗り継いで福島へ。
過密スケジュールで持ち帰った時差ボケと、いきなりこの日本の蒸し暑さ。
「強烈だけど・・・。歳取ったせいなのか、それもしょうがないと受け止めている鈍感な自分がいる」。
帰国直後は何度も夜中に目が覚めて、その反動で「午後スタートだった昨日は、起きたのが9時22分。自分の人生で、そんな時間に起きたことない。びっくりした」と目覚ましで、セットした時間もとうに過ぎてて飛び起きた。
そしてこの日はまた、4時から寝られず悶々とした朝も、連日の雨でジクジクした地面も、「高温多湿の日本と、先週のイギリスとじゃ、コースの状態も違い過ぎるくらい違って当然。でも松山だって、インターナショナルな選手たちだって、日本に来たら、その条件の中で普通にやってる。いや、普通にやれなきゃいけない。普通にやって、当たり前なんです」と、その辺りから、ベテランが熱弁を帯びてきた。
このダンロップ・スリクソン福島オープンで、今季日本ツアー初出場の松山には感謝しきりだ。「世界ランク15位の選手がですよ。世界に認められている選手がですよ。日本の試合に来てくれてる。普通はありえないですよ。こんなありがたいことは、ないですよ」。
松山のうんと先輩でも、「世界ランクで100何位の僕らは彼の胸を借りて、ぶつかっていくつもりでプレーしないといけない」。
実は、この日3日目は、その松山と前後で、組み合わせが分かれてしまって、残念だった。「昨日も、宮本と話していたんです」と、弟弟子との雑談を打ち明けて「松山と一緒にプレーしたいなって。同じ組で世界のプレーを見たいなって」。
そんな希望を持っていたから最終日は、思いがけず自身の急浮上にさらに組が離れてしまって、ますます残念なのか、嬉しい悲鳴か。
つい先週まで予選通過にあえいでいた自分がいきなり、V候補に名前が挙がってありがたいのか、つらいのか。
サンバイザーや、ウェアやバッグに年々、スポンサーの名前が増えていく重圧。「もちろん、頑張らないといけないとは思うんですが。もう46歳なんです。重荷なんです。普通にやらしてください。こそっとやらしてください」。そんな本人の嘆きとは裏腹に、最強の40代は最終日も目立ってしまって仕方ない。