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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2015
松山英樹が猛チャージ!!
一番大きなその声が聞こえたほうに向けて作った笑顔は、4日間の中でも一番だった。
「僕がプレーしただけで、ありがとうと言ってもらえるなんて。嬉しいですね」。先週は月曜日まで延びた全英オープンから疲れた体を引きずって、駆けつけた労も4日目にしてようやく少し、報われた気がした。
「今日は、やっとゴルフをしたという感じ」。
連日大勢のギャラリーを引き連れながら、特に初日と前日の3日目は、「それに見合ったプレーが出来なかった」とそのことを何より悔やんでいたものだが、最終日までに間に合った。「今日も、またたくさんの方に応援していただいて。優勝に届かなかったのは残念ですが、それに見合うプレーは今日は出来たかなと思う」。
最終日にして、この日はようやく体調も一番だった。2番の3パットから、連続ボギーが先行したが、4番は左バンカーからピンそばにつけるバーディで、たちまち火がついた。
そこから4連続バーディもとにかくこの日は通算20アンダーを目標にしていただけに、「8、11、12番がもったいなかった」。その3ホールであとひと息という惜しいパットが続いて、さらに気をひきしめた。
「後半になるほど集中していった。ここから全部バーディを取って、最後イーグル取ればと思った。17番までは、そのとおりに出来たけど、最後セカンドはもったいなかった」。
13番から怒濤の5連続バーディは、3つめの15番で5メートルを奪って、握った拳に力がこもった。最終日もまた大勢のギャラリーを引き連れて、長旅の疲れをため込んだ体には声援が、何よりの力になった。「それは、間違いない」。
最後の18番は、2打目を左下のラフに外し、2メートルのバーディチャンスも逃して本当に悔しそうに福島の青空を仰いだが、「1ラウンド10バーディは、自分でもあまり記憶がない」。
無敵のアマチュア時代を通じても、日本ツアーで自己最高のバーディ数で、灼熱の福島をますます熱くした。
「東北で年に1回しかない大会で、10コのバーディをお見せすることが出来て良かった」。それまで3日間の悔いを晴らすにも十分の64で報いた。「今日来てくださった方に少しは楽しんでいただけたかなと思う。また日本でプレーがしたい」。
2週後には世界ゴルフ選手権「ブリヂストンインビテーショナル」。さらに翌週にはいよいよ今季メジャー最終戦の全米プロ。「それまでに、まだまだショットやパットを磨かないといけない。今週見つかった課題をメジャーで試せるように頑張りたい」。次の帰国には、大きな土産を持ち帰ってくれるかもしれない。
今年は松山英樹もホストプロとして奮闘した。「ダンロップ・スリクソン福島オープン」は、ゴルフで福島を元気にしたいと、最初は小さなプロアマトーナメントからスタートしてそれまで19回の歴史を重ねてきた「福島オープン」を、地元企業と有志のみなさんが、力を合わせてレギュラーツアーに昇格させて、新装開店したのが昨年。
初出場のマスターズは2011年。日本が大混乱の中で、松山が出場すべきか迷ったときに、自ら深い傷を負いながらも、暖かく背中を押してくれたのが、ここ東北のみなさんだった。「いつかこの大会でプレーしたいと思っていた」。あのときの恩返しに帰ってきた松山が、真夏の福島に笑顔を届けた。今年、駆けつけたのは4日間のべ15,884人。第1回より4930人増の大ギャラリーを集めて、2回大会も大きな感動のうちに幕を閉じた。