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東建ホームメイトカップ 2016

池田勇太が3位タイ

イメチェンの春に、最高のスタートが切れた。見た目も中身も、がらりと生まれ変わった池田が、好発進した。
遠目じゃ一瞬、分からない。「ギャラリーの方も、俺だって気づいていないんじゃない?」。
大変身に、「もうひとり、俺の弟を作り出している感じ」と、戸惑っているのは一番、本人かもしれない。

「俺の身内は格好いいとか言ってくれるんだけど。どこがどう格好いいのか。鏡を見ても、慣れなくて」。とにかく昭和の匂いがするものが好きだった。
しかし、大好きな映画「あぶない刑事」も今年、シリーズ最終章を迎えている。自身も30歳の大台に乗った。
「これを機会に、俺も若返りを図ることにした」。
トレードマークだった角刈りも、風にはためく3タックのパンツも、プライベートのダブルのスーツも。
回り回って、聞こえてきた周囲の声。それらすべてが「時代錯誤だったんだってさ・・・」と、そこはちょっぴり寂しげに、この春は心機一転。
ゴルフウェアのマスターバニーエディションと、アドバイザリー契約を結んで毎日のコーディネイトは、「自分でやると、また元に戻っちゃう」と、メーカーから送られてきた図柄解説入りの“マニュアル”と首っ引きだ。

ラウンド中も、まだまだ足さばきの良かった3タックパンツのようにはいかない。ぴたっとスリムなパンツは、次第に汗で、いっそう肌に張り付き、ラインを読もうとうっかり無造作に座ろうものならば・・・。
オフには2枚もパンツを破いて、「パンツ丸見え」。スリムパンツに合う所作も、一生懸命勉強中。

外見だけじゃない。中身も変わった。昨年まで3年間は、それどころではなかった。最年少で就任した選手会長職は“ロビー活動”に追われて「オフも月の半分以上の時間を取られてた」。大学の先輩の優作にバトンを渡した今年は丸々自分の時間に充てられる。

フリーに変わったクラブ調整に没頭し、パーソナルトレーナーをつけて徹底的に鍛え直した。
「体のことは、俺はまったく無知なので。どんなトレーニングと聞かれても、重いヤツを上げたりとか、そんな説明しか出来ないけれど」。
前のダボダボパンツなら、多少の難は隠せるが、はやりのウェアはそうはいかない。「ごまかしが効かないから」とひそかに体型維持の目的も、ゴルフにてきめんに効果が出ていた。

明らかな変化は、専属キャディの福田央さんが、いち早く察していた。
「まず飛距離が伸びている。スイングも変わっている。以前はトップでループしていたのが、なくなっている。トレーニングで下半身が安定したからだと思う」。
いつもそばで見ている人の証言は重い。「オフにやってきたことは、間違いではなかったと自信になる」。
開幕初日から、危なげなく、この日最後の9番も、左のバンカーから寄せきれずに2メートルが残ったパーパットもしのいで、ボギーなしの66。
5アンダーは、3位タイでスタートを切って、「スポンサーの方も、喜んで下さるんじゃないか」と、それが何より嬉しい池田である。
「でも今日1日で満足したって仕方ない。今日のスコアを生かすも殺すもあと3日次第。今日のスコアをつなげていって、開幕から優勝できるように頑張りたい」。このまま新生・勇太の“初V”を狙う。

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