Tournament article
RIZAP KBCオーガスタ 2016
歴代覇者の田島創志(たじまそうし)が裏方で奔走中
主な業務は、コースセッティングの監修と補佐。主に田島らプロゴルファーで構成されており、シニアの渡辺司を筆頭に、佐藤信人と田中秀道、細川和彦と桑原克典の計6人が、主催者の要請に応えて今後、数試合を持ち回りで担当することになっており、いよいよ今大会から田島が本格始動のトップバッターをつとめることになった。
初日から、コースに入ってディレクターや、競技委員らと協議を重ねて、ティやピン位置を決めていく。世界のアオキの意見も取り入
れ、4日間のセッティングを錬っていく。
田島がこの「RIZAP KBCオーガスタ(当時は久光製薬KBCオーガスタ)を制したのは2003年。「でも、もう13年も前のことなので。あれからゴルフも様変わりをしているので」。
田島に当時の栄光にこだわる素振りはみじんもない。
特に、3年半前に新グリーンキーパーに就任したアンドリューさんを中心に、英知を結集したコーススタッフのみなさんが、ツアーで唯一の高麗グリーンに大改造を加えて、新しく生まれ変わった。硬さと速さを兼ね添えたグリーンは毎年、選手らにも高い評価を受けており、田島としても新グリーンの特性を、最大限に生かしたピン位置を、と考えている。
なにより就任時に青木が掲げた「人を育てる」とのコンセプトに田島はこだわる。
「漠然としたショットは打たせない。良いショットと悪いショットで差が出るような。好・不調で結果がはっきり分かれるような、メリハリのついたセッティングを心がけたい。選手たちには、結果を納得して、受け入れてもらえるようなピン位置を考えています」。ファンの視線も、意識する。
「会場に来て下さった方も、残念ながらテレビでしか見られない方にも。ゴルフが大好きな人が、見ていて熱くなるような。そういうゲーム展開を、発信していきたいんです」と田島はいう。
この日2日目も、競技委員らと練りに錬ったピン位置の状況が気になって仕方なく、田島は何度も灼熱のコースに出ていき、選手たちのプレーぶりを見守った。
大会は、土曜日の競技終了後に、プロたちによるニアピンコンテストが行われ、ギャラリーの拍手が鳴り響く中で、アプローチを競うという画期的な取り組みにも、田島は期待している。
「一度はゴルフから冷めてしまったファンを、取り戻したい。みんなでにぎやかに、熱くなって盛り上がりたい。そのために僕ら選手
も考えて、クリエイトして、ゴルフの面白さをアピールしていきたい。人々にゴルフにも関心を持っていただいて、感動して頂きたいんです」。
ツアーは1勝を飾り、選手としてもまだまだ脂が乗る39歳だが、田島はそこにしがみつくつもりもないという。
「今までゴルフから受けた恩恵を返していくことも、大事な使命。もちろん、選手としても諦めたわけではないですが、こうしてまた
違った形でゴルフに携われることを、ありがたく幸せに感じています」。
ゴルフ人気の回復のために、まずは任期を全うするつもりだ。