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三井住友VISA太平洋マスターズ 2016

松山英樹が大差リード

あとは楽々逃げ切るのみか。松山が、ついに6打差の大台に乗せた。大会の最多アンダー記録(※)にも2打差に迫った。朝は久々の青空に、ますます白化粧を濃くした富士山が浮かんだこの日はついに、ドライビングディスタンスでも1位(平均299.50ヤード)に立ち、18番のパー5は左サイドのバンカーも、「普通に打ったらこのくらい」と、これまた楽々超えてきて、残り200ヤードの2打目は6アイアンで、奥のラフまで行った。

「スピンが入るかなと思ったら、フライヤーしてしまった。とんでもないところまで行ったけど、最後はしっかり良いアプローチが打てて良かった」。
奥からピンそばのバーディも「獲れて良かった。今日は20アンダーまで行きたいと思っていたから、行けて良かった」。
大差も想定内だった。

8打差の4位につけた優作。「今はどこでも勝つんじゃないか」。ベテランの藤田は「昔から、彼は凄いと言っている。驚かない。これが世界トップ10のゴルフ。日本のレベルがそれまでのこと」と誰しもまるで、これが最終日のようなコメントを残した。

2日目に折れた7番アイアン。スタッフの尽力で、前夜のうちに都内のショップから取り寄せられて、何事もなくスタートできた。
痛みを感じた左手首もトレーナーの献身ケアで「万全ではないけど、悪くない」。

世界ランク7位のリーダーが、着々とスタートの準備を整える間に満員の練習場には、早朝から入場制限がかかった。6107人が集まった。大ギャラリーに見送られて出ていった。
3日目の最終組は、同学年の宋 (ソン)とニコニコ笑顔のラウンドも、序盤は苦しんだ。
スタートの1番ではいきなり左足下がりのラフから「フォア!」と叫んだ。グリーン左サイドに集まる大観衆に向かって飛び出した2打目を、また傾斜のラフに入れ、2.5メートルのパーパットをしのいだ。

6番は、第1打を右の林へ。木々が密集した薄暗い土の上から「1回で、林から出ればいいが、あわよくばフェアウェイ」と、5アイアンでちょんと打った2打目はラフに止まり、7番アイアンで打った213ヤードの3打目はピン3メートルと、きわどいパーセーブにガッツポーズを握った。
「あの2ホールは大きかった」と、そこから一気の上昇が始まった。
8番から4連続バーディで、じわじわと差は開いた。

「ヨンハンも良いプレーをしていた。ショットのミスがなくなれば、怖い存在かなと思うが、それも自分が伸ばせば関係ない。油断しないで逃げ切れるように頑張る」。2011年には、史上3人目のアマVを飾った思い出の御殿場。世界遺産の富士山に、もはや世界レベルに達したゴルフを見せつける。

※大会の最多アンダー記録は2004年のダレンクラークの通算22アンダー

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