Tournament article
ゴルフ日本シリーズJTカップ 2016
連覇がかかる石川遼は「ウェルカム、と思ってもらえれば」
有り余るほどの悔しさと、今後の大きな糧を持って帰ってきた。
先週のワールドカップは、エースの松山とも何度も話したことだが「もっとやれた。もっと行けた」。
日本に14年ぶり3度目の勝利を持ち帰ろうと、並々ならぬ思いで出た大会初日。
「緊張もあった」。自分を信じ切れなかった。
「自分のティショットのミスで、ボギーにしてしまったり」。ダブルスのストローク戦で、1オーバーと出遅れた。
「2日目のフォアボールで7アンダーというのも、足りなかった。でもヒデキはああいう性格だから。俺が足を引っ張ったと言ってはくれるけれど」。
同学年の世界ランク6位を引き立てるゴルフが出来なかった「不甲斐なさ」。
そして「その何倍もの刺激ももらえた」。
10月からの1ヶ月で日米合わせて4戦3勝の松山。「この短い期間の中で勝って世界ランクを上げている選手」。その戦績の今なら自信を持って、当たり前だとは思うが松山の凄いところは「調子がいいから自信があるのではなく、そうじゃなくても常に自分に自信を持ってやれるところ。先週の自分は、初日から自分に半信半疑だった。今週から出るすべての試合で生かせること」。
一方で、池田と谷原の賞金レースは、アメリカに戻ってからもその動向を逐一チェックして、石川も海の向こうで胸躍らせていた。「特にフェニックス。勇太さんは、ヒデキが勝った日本オープンでもそうだったが、PGAの選手を相手にしても崩れない。それどころか、それを上回るようなプレーをした」。
特に終盤戦は、このシーズン最終戦を賞金1位で迎えるにふさわしいゴルフで、日本ツアーを盛り上げてきた。
「誰も手がつけられない」。
先月の三井住友VISA太平洋マスターズを制した松山は、「2人の邪魔をする」と冗談交じりに、本当にさらりと大会2勝目を飾ったが「僕には割って入る自信がないけど」と遠慮気味でも「勇太さんと谷原さんが優勝争いをしているなら、僕もそこにいたいし、その中で僕も勝ちたい。遠慮はゼロ」と、いよいよ最終戦を迎えた2人にひそかに割って入って連覇のチャンスを狙う気も十分。
「勇太さんも谷さんも、そんな僕を、ウェルカムと思っていただければ」と、懇願した。
先週は、練習日も含めて10日間もずっと、松山がそばにいてくれたがその分、チーム戦ではペアを思いやればやるほど個人戦より「こんなショットじゃだめだ、と思う」。
向上心がより強くなる。
最終日は、2人でもっと戦っていたいと思った。
松山は「また遼と組みたい」と言ってくれた。
同級生と、世界舞台で戦った余韻は長く続いて「今週は一人だと気楽だけど、寂しさもある」。
日の丸をつけた先週のキャディバッグやクラブカバーを今週も、そのまま使う。
デザインが気に入っているだけで「使うことにストーリー性はない」とはいうが、先週は結局4位に終わったが、尊敬する同級生と全力で世界一を目指した充実感も、有り余るほどその胸に残っている。