Tournament article
HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2016
単独首位で出たのは堅実な飛ばし屋! 韓国系豪州人のウォン・ジョン・リー
ここ総武は丈高い林に囲われて、狭いコースで確実にフェアウェイを捕らえて、バックスピンでキュキュキュっとボールを止めて、面白いようにピンにつけた。この日は1回だけグリーンを外したホールを覗いて、ほぼ全ホールでバーディチャンスを打った。
真冬の冷え込みを記録した前日の水曜日は、「風邪をひいた」と、練習場でジャンパーを着込み、ニット帽をかぶり、手にはミトンをつけて完全防備。
練習中も、たまによろけて「関節があちこち痛い・・・。31歳だけど、体は60歳」とぼやいていたのがウソのよう。
昨年は、初日に4位で出た難コースで今年は単独首位でスタートした。
韓国で生まれ、4歳で両親とともにオーストラリアに移住。1995年に豪国籍を取得した韓国系オーストラリア人は、アマチュア時代から知る人ぞ知る大型選手だった。
祖父の影響で、15歳から本格的にゴルフを始め、その後わずか5年で頭角を現した。ベストアマに輝いた2005年の日本オープンでは190センチの長身から繰り出す豪打は、衝撃的ですらあった。
その翌年にプロ転向を果たすと、2007年から米二部ツアーのウェブドットコムツアーに参戦。1部昇格を目指して奮闘中に、右腕を痛めてやっと回復したのが2014年。
日本ツアーからの再出発を決め、昨年はファイナルQTランクの資格で参戦。シード2年目の今年は、現在賞金ランク55位から、当然初Vを狙っているのかと思いきや、意外や意外。
「今は賞金ランク40位に入ることを目標にしている」という。豪快なプレーに似合わず、「僕は、目先の小さな目標を着実にクリアしていくタイプ」という。
「小さな目標を積み上げていけば、いずれ大きな目標に辿りつけると思っている」。ツアーきっての飛ばし屋の素顔は、意外と堅実だった。