Tournament article
SMBCシンガポールオープン 2016
小林伸太郎は早朝のハプニングに・・・(大会5日目、最終ラウンド)
それがこの日行ってみると、なぜかマークがカップまで50センチ辺りと、ずいぶん近づいており、「僕的にはこんなこと、ありえるのかな、と」。競技委員を呼んで立ち会いのもと、記憶をたどりながら元にあった位置に戻して、プレーは続行されたが、いきなり早朝からルーリングで幕をあけた残り競技に小林の中に、「いろいろ考えさせられちゃう」と、モヤモヤとしたものが残った。
残り2ホール半の大事な優勝争いで小林は「心が揃っていなかった」という表現をした。小林には再開ホールの最初の1打に当たる17番のティショットも「気持ちがそがれていた部分があった」と、集中しきれないまま痛恨のボギーを打った。
通算9アンダーは、せめて最後のパー5でイーグルを獲るしかない。狙っていった。最高のティショットが打てた。フェアウェイから2打目も会心の一撃だった。
グリーンすぐ手前のラフに運んで3打目も、カップをかすめる絶妙の寄せ。
「全神経を使って打ちました」。バーディパットを打つ分はもはや、使い果たしていた。これを決めても、もう届かないと思うとなおさら「集中しきれなかった」。イーグルトライの3打目が入らなかった時点で、優勝はもうない。「そういう心理状態で、気持ちがナヨっとしてしまった」と、バーディチャンスも外して平凡な幕切れには恐縮しきりだ。
大会は1日伸びて5日目はしかもたった2ホール半のV争いにもかかわらず、この日も応援に来てくださった人もいて、「その方々に申し訳ない気持ちです」。小林が優勝争いに加わったことで、「日本人のギャラリーの方にもたくさん、ついていただいて。応援がなかったら、精神的にも参っていたと思う。応援があったから、それを励みに頑張れました」と、感謝感謝の5日間。
4日連続のサスペンデッドになった日曜日の夜は首に違和感を覚えて、大会が用意してくれたマッサージルームに行ったが、時間が遅くてスタッフがもういなかった。困っていると、セントーサゴルフクラブの役員の方が、市内によいトレーナーがいると、案内してくださった。その帰りには美味しいそうめんを食べさせてくれる店も紹介してもらって大事な1日を前に、久しぶりに美味しい日本食で癒やされた。
「人の温かさを感じられた試合になりました」。人々の記憶が新しいうちに、良い報告で報いたい。「優勝争いはいろいろなパターンがあり、これも一つの経験。この悔しさを下積みにして、ミャンマーでもまた一段上がっていけたら」。着実に階段をのぼっていく。