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ダンロップフェニックストーナメント 2017
松山英樹が自身初のホールインワンを達成
8番アイアンでのひと振りは「完璧なショットだった」。
ピン手前2メートルに着弾したボールはゆるくスライスラインをたどって、カップに引き込まれていった。
普段は頑固なポーカーフェイスが一瞬ポカンと、たちまち柔らかく緩んだ。
「みんなが言っていた“フワフワする感じ”が、試合でやってみて初めて分かった」。
武藤とリューと、進藤キャディとのハイタッチに全身から隠せぬ喜びがにじんだ。
「4日間で良いプレーっていうのはほとんどなかったので。その中で、大いに沸いてくれたので。最高のお土産があったので、ほっとした」。せめてもの・・・にしてはあまりに大きい見せ場を作って安堵した。
「これだけ応援されているのを忘れずに、これからまた頑張らないといけない」と、この日を機に改めて世界制覇を見据えた。
ジャンボと、4年ぶりの“直接対決”でも盛り上げた予選ラウンド。
来年4月のマスターズを見据えて試行錯誤を始めたスイングも含めて、いまの自分がジャンボの目にどう映ったかを気にしていた。
「日本で94勝して、アメリカのメジャーで何度も上位に入った。ジャンボさんがニクラウスとか、パーマーとかと争っている時と比べて、(いまの自分は)どうなのか聞きたかった」。
今季唯一の国内ツアーを戦い終えて、「僕に聞くすべはないので。メディアの方が聞いてくださると信じています」と報道陣に“宿題”を託してその後の“続報”も、心待ちにしている。
今年のマスターズは11位に終わった。全米オープンではケプカに4打差で破れた。全米プロは、最終日を1打差の2位から出たが届かなかった。
悲願のメジャ−制覇は確実に「近づいている」と感じながらも、あと一歩を埋めるために始めた取り組み。
「改造、と言われたら大げさなんですけど」。
競技後の会見では表現に戸惑いながらも、いま自身がやろうとしていることを、出来るだけ正確に説明しようと心を砕いていた。
「ちょっとした自分の中での変化。マスターズで思ったように打つためにはいままでのスイングではダメだと思うし、変えるというよりは、自分のフィーリングを出しやすいスイングにするってこと。いまからしっかりやらなければいけないと思った。自分は持ち球をドローだと思っているけど一緒に回っている人はフェードと思っているかもしれない。そのズレがいまの状況。そこら辺の自分の目線のズレも、直さないといけないなと思います」。
大会が誇るホストプロは何より大きな一報を日本に届けるために、懸命なのだ。
「それが出来るようになるには球数を打たないと。1ヶ月で2万球くらい打とうかなと思います」といたずらな笑みで、つい6週ほど前にも、どこか誰かで聞いたようなセリフは、こちらもまた懸命に、いったん日本で再生を期す同学年の戦友への呼びかけにも聞こえた。