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フジサンケイクラシック 2017
Vスピーチは喋りまくるぞ! 期待の21歳・鍋谷太一
3番でボギーが先行した。
「苦しい立ち上がりになった」と、暗雲もすぐ晴れた。5番は、535ヤードの長く厳しいパー4で、右手前のセミラフから2打目を直接入れるチップイン。「あれはめちゃくちゃデカい」と、難ホールでのバーディを糧に、バッグナインで反撃に出た。
14番からの3連続バーディで、イーブンパーまでスコアを戻した。思い出の大会で、確かな成長のあとを実感出来た。
今大会に、初出場を果たしたのは大阪学芸高1年の2012年。前年のフジサンケイジュニアで優勝を飾り、権利を得てやってきた富士桜は「めっちゃ難しくてどうやったらバーディが取れるのか。太刀打ちできないと思った」。
あっけなく、予選落ちした。
それから2度目の出場は、マンデートーナメントを突破した2015年。一昨年も、予選落ちを喫して今年、3度目の挑戦は「初めてアンダーパーで回ることも出来たし、パーオン率も上がって、レベルアップしていると感じられる」と、うなずく。
レッスンプロの父・忠治さんのアドバイスで、7月から新たにしたクラブセッティングも今週のコースにハマった。3Wと5Wを抜いて、4Wと7Wを入れたことで、深いラフからでも楽に脱出できて、絶妙な距離感も出せるようになった。
そして3番アイアンを抜いて、58度のウェッジを投入。
「アプローチの引き出しが増えた」と、100ヤード前後から、確実にグリーンを捕らえられるようになった。
さらに今週は、忠治さんがバッグを運んで一石二鳥だ。父親の“ラウンドレッスン”を兼ねた実戦では「ドローで捕まる球が、打てるようになった」という。
賑やかに、喋り倒したあとに「スミマセン、喋るのが好きなんで。無駄なことばっかり言っちゃいました?」と、笑顔にも屈託がない。「優勝スピーチも、きっと喋り倒す」と、いつか来るべき日を夢見る。
「慌てる癖があるから明日は、落ち着いてプレーできたら。人生最高のゴルフが出来ればいいな」。
18番グリーンでは3日目にして、ウィニングパットよろしくギャラリーの中に、使っていたボールを放り込んだ。
最終日には12位タイから、5打差の大逆転初Vでこの日の予行演習が生きるといい。