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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2017

何が嬉しいって水廻りリフォーム権! 久保谷健一が5年ぶりのツアー通算7勝目

5年ぶりの自虐Vを飾った。この3年というもの、賞金シードさえなかった45歳が、またふいに勝った。44歳との一騎打ちを制した。
偶然にも5年前の日本オープンと同様に、6打差から追いついた。
この日も、最終組の2時間近くも前に、いち早くクラブハウスリーダーになった。

本戦の18番は、グリーンの外からパターで沈めて首位に並んだ。
「寄せに行ったのが、入っちゃった」と恐縮しきりで歓声に応えた。
「今日は人生で3本の指に入るくらいパットが入った」。
1番で4メートルを入れると、5番では5メートル。
7番、8番では8メートルを沈めると、11番では15メートルが決まった。12番の連続バーディで、完全に射程に入れた。

グリーンDJのタケ小山氏と、薬師寺広氏が盛り上げた16番パー3の“ライブ観戦ホール”は「グリーンに乗らなかったから。うつむいて歩きました」と反面スイングに関しては、この選手が悩んでいないことはなく、いまだに試行錯誤が続いており「飛ばない、曲がる、萎えてくる。今日も見てらんないくらい。ひどすぎて」と、5年ぶりもやっぱりいつものぼやき節。

「64なんて、たぶん5,6年は出ていない。めちゃくちゃ嬉しい」と、ただただボギーなしの7アンダーで回れたことだけが満足で、トップタイで上がれば普通なら、その足ですぐにも練習場でプレーオフに備えるところをこの選手は快く、中継局のインタビューに答えたり、マスター室前のフォトエリアでのんびりと記念撮影に応じたりして、恐縮しきりのスタッフには「い〜のい〜の、あとは帰るだけで暇だから!」。
クラブハウスに戻ると真っ先にスパイクを脱いで、「優勝はない。こんなショットでやるのはもうやだ。帰る」と言って聞かずに、後続が伸びてないからと、スタッフに説き伏せられて、仕方なく練習場に向かった。

ついにもつれ込んだプレーオフにも「泥試合」と苦笑い。
「OBだったり、次も木の裏だったり、見てらんなかった」と、たとえ相手の宮本が、はなから不利な展開でも、それにも関わらず「自分はセーフティにしか行かない、いやセーフティにも行けない」と刻んでも寄せきれず、パーパットも決めきれず、3パットのボギーで勝って「ラッキーでしかない。相手の不運で勝てても喜べない」と神妙な顔で、宮本の右手を握った。

持病の腰痛が悪化したここ数年は、いくつかの棄権を挟んで予選落ち続きの惨憺たる成績に「やめたほうがいいんじゃないか」と引退が、ちらついたこともあった。
「僕はセンスない。練習しないと不安。練習してなんぼ。練習できなければ俺は終わり」と悲壮な覚悟で以前は日が暮れても練習場に居座ったが、それもかなわなくなった。
大好きなお酒もここ数年は、ついやけ酒になり、今までみたいにちっとも気持ちよく酔えずに、飲めば二日酔いばかりで悪循環。
「ゴルフにも裏切られ、酒にも裏切られ」と、恨み節もせめて2匹の愛犬、ペキニーズの「あずき」と「きんとき」に癒やされる日々。

今年は、2011年の日本オープンに勝って得た5年の複数年シードの最終年で「今年ダメならもう終わり」。
いよいよ尻に火がついた。
「若いころにもっとやっておけば」と後悔はさておきこのオフは、松尾俊一トレーナーの献身ケアと、トレーニングでどうにか戦える状態にして、「また痛みが出てこないうちに」と迎えた先週の国内開幕戦で、5年ぶりの予選通過を果たして小さな手応えを、つかんだばかりだった。

「何が嬉しいって、いま金銭的に苦しいですから。お金が一番嬉しい」とちょっぴりゲンキンで、切実なVスピーチも、この選手にかかれば何故かほのぼのしてしまう。
稼げない時期も、文句も言わずに支えてくれた。
主催者から久美子夫人に、何よりのお土産も頂戴した。
今年の優勝副賞は、300万円相当のパナソニック社の水廻りリフォーム権。
「うちのかみさんは、(優勝賞金)3000万円より喜びます!」。

この1勝で、45歳の方向性も見えてきた。
「歳とると、今まで怖くなかったとこが怖くなるけど、アプローチとパットを今まで以上に良くしていかないと、生き残れない。ショットを上達させるよりも生きてく近道」。
この1勝で、またやる気も出てきた。
「せっかくまたチャンスを頂いたのだから、腰痛だのなんだの言い訳せずに、トレーニングだのなんだの頑張って、また皆さんに、良いゴルフをお見せできるように頑張ります」。
ゴルフも、水廻りもたゆまぬメンテナンスが長持ちの要だ。

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