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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2018

賞金1位がやっと勝った!!

逆転の首位で迎えた18番で、右のバンカーからピンそばに寄せていつになく、手を上げて感情を出した。1メートル弱のバーディパットでガッツポーズに珍しく力がこもった。
賞金1位がやっと勝った。
婚約者と恋人つなぎで喜びを分け合った。
口べたな勝者の代わりに饒舌なエースキャディが、思いを伝えた。
柏木一了さんも、涙目をして「待たせてごめん!!」。
恩人からの詫びに歓喜の涙をこぼしたフィアンセは、この上なく可憐だった。

1打差の3位から出た最終日は、前半9ホールで川村に、4差をつけられ「自分から行かないと、また勝てない。微妙にタイミングが合わない。イメージを変えよう」。
攻撃に転じた後半。コンパクトに徹していたスイングスピードを速くした。
13番のバーディで、1差に迫った。
14番で、3メートルをしのいで1差を守った。
15番は左の林に入れるピンチでまた3メートルを残したが、パーパットを沈めて、2差にとどめた。
グリーン上で、川村を揺さぶり続けた。

「1打に集中して外れたら、あとがないという感じでやった」という。
今季の平均ストロークはこれまで69.87%を記録して1位。
ゴルフの上手さは若手の中でも随一でも勝ちきれない。「自分では、意識していなかったが後半に伸ばせない。優勝は、難しいと感じた」。
ツメの甘さが悩みのタネも、この日上がりの3連続バーディで一気に返上した。
16番のバーディで、再び1差。
17番のパー3は「完璧に打てた」と奥2.5メートルに乗せた。同距離の川村のパーパットを待たずに、下りのスライスラインを読み切った。バーディボギーでついに首位をひっくり返した。
12番をのぞいてすべて1パットを記録。後半9ホールは執念の10パットで川村との混戦を制した。
単独2位に終わった9月のフジサンケイクラシックから走り続けた賞金1位がやっと今季の初勝利を手にした。

レジェンドにもさっそくV報告できる。
ジャンボ尾崎に初めて練習ラウンドを申し込んだのは、今週の水曜日。
「若いヤツと回るのは疲れる」と、今平の申し出を振りきって予定より早くコースに出てしまったのには慌てたが、16番ホールで追いつけた。そこからわずか2ホールでもアプローチを習ったり、濃密な時間の最後にジャンボが言ったのは「勝てないと、賞金王はないだろう」。
未勝利の賞金1位と口々に言われた中でも、過去12回の賞金王の言葉はやっぱり一番重かった。
「今日も前半リードをされて、今週もダメかなと思ったけど最後まで、諦めなければいいことあると今日思えた」。
貪欲に追い求めてこそ初めて知れる勝利の甘味。教えてくれたジャンボにも、堂々と賞金1位を名乗れる。
今週火曜日の晩には柏木キャディをはじめ、メーカーさんやトレーナーさん。たとえ下戸には飲めない宴席でも、激励会を開いて励ましてくれた、“チーム周吾”の面々にもやっとひとつ結果で報いることが出来た。

昨年、ツアー初Vを飾った関西オープンは、キャディとして支えてくれたが当時、交際はひた隠しにしていた。
「勝って欲しいと言われたことはないけどもちろん、彼女のためにも勝ちたかった」。
5月に、若松菜々恵さんと婚約を発表してから初めて捧げる勝利でもある。
「いつも応援してくれるのに、なかなか勝てなかったが見に来てくれた大会で、勝てて良かった。ありがとう」。
公衆の面前で、シャイな周吾の精一杯の愛言葉。
なかなか勝てなくて、ストレスの溜まった日々もたまのオフに2人で出かける千葉のテーマパークがつかの間の癒やし。
会場に来てくれた時にはかわりに運転をしてくれたり、洗濯をしてくれたり「料理はまだ上手くないですけど、花嫁修業中。これからも、周吾さんを支えたい。賞金王を狙ってください」。
けなげな婚約者のおねだりにも奮い立つ。

優勝賞金3000万円を加えて獲得賞金は1億円を超えた。
2位に3000万円以上の差をつけて「今季はあと6戦。もう1勝できれば近づいてくるんじゃないか、と」。
本当の勝負はこれから。

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