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マイナビABCチャンピオンシップ 2018

元ギャル男。木下裕太の進む道

こう見えても「メンタルはめちゃくちゃ弱い」。自称ネガティブが、最終日を前に弱気の虫を振り払えたのは良かった。前日2日目までボギーなしのゴルフが一転、4バーディ4ボギーと出入りの激しいゴルフで迎えた18番。残り217ヤードの左バンカーから5Wを握った最終パー5の2打目。
「ダフりさえしなければ超えるがちょっとでも噛んだら池」。怖かった。特に後半は、強く吹き出した風に「ずっと緩みっぱなしで」。
刻んで、3打目勝負の選択もありだった。
しかし「逃げて刻んでボギーとかを打ったら、明日に響いてしまう。スライスをかけて狙おう。腹をくくった」。

勝負をかけた渾身の1打は、グリーン左の花道をとらえた。
ピンまで登って下りのラインをたどるアプローチもいちかばかちかで1.5メートルに寄せられた。
バーディチャンスを逃さず、リューと並んでいよいよ自身初の最終日最終組に挑むことになった。

「楽しみは2割。不安は80%。明日は、どうなっちゃうのか・・・」。
一見、強面だが「見た目だけ。偽らないと、ゴルフはやってられない」。
金髪ロン毛で武装したのは、二十歳のころ。当時、周囲はいわゆる「ギャル男(ぎゃるお)」ばやりで、木下も流行に乗ってみた。
「それまで人見知りで人と話すのが苦手だったが、その格好で人とフランクに話せるようになった」と、PGAのプロテストもそのまま受験。
「あとで、会長が怒っていたらしいと聞いて」。すぐに黒髪に戻したいきさつも、今や「掘りたくない過去。もう変に、目立ちたくない。明日の最終組も、ひっそりやりたい。ああ、明日は中止にならないか・・・」。

初Vへの挑戦も「よくわからない。現実なのか・・・」。つい後ろを向いて逃げたくなる気持ちを懸命に堪える。
「今日はけっこうあったので、反省。明日は気持ちだけでも逃げないように・・・。緊張して震えながら打てるくらいの位置に最後までいれたら」。

プロ11年目。32歳にして迎えた初Vの大チャンス。
ビール1杯でも「吐いちゃう」という下戸は今晩、酒でごまかして寝るわけにもいかない。「風呂入ってゆっくりして、ゴハンを食べて。普通に過ごすのが、一番良いと思うのですが」。
まずは眠れぬ夜が最初の敵か。

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