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レオパレス21ミャンマーオープン 2018
武藤俊憲が、ミャンマーから届ける群馬愛
交通網を麻痺させた記録的な寒波と大雪はもちろんのこと、何より武藤を動揺させたのが、地元群馬県と長野県境にある草津白根山の噴火だった。
「ホテルでテレビをつけて一報を知ってびっくりしました。今までも小さな噴火はあったのですが、それももっと山の上のほう。地元の人間にも予想していないところで噴火したというから・・・。本当に心配でした」。
実家は前橋市にあるから、そこは問題ないとしても気がかりだったのは師匠は師匠でも、プロ入り後に“弟子入り”したほうではなくて“元祖”のほう。地元群馬県の研修生となり、上州の空っ風の中でゴルフを覚えた。そのころから世話になる菅原理夫プロは、草津に住んでいる。
「急いで連絡したら、うちは大丈夫とお返事が来たけれど・・・」。ミャンマーから安否確認は出来たが、火口近くのスキー場では噴火による被害者も出て、警戒レベルが引き上げられた周辺施設も閉鎖されたままという。
この正月には、家族揃って里帰りしたばかり。子どもたちとスキーに興じ、凍えた体は名湯に浸かってじっくり解かした。
オウンネームボールには、温泉マークをプリントするほど。「こよなく愛する草津温泉が、風評被害に遭うのは悲しい」とネットニュースでその後の噴火情報をかき集めては、遠く故郷の安全を願う日々だ。
大会は、始まって3年目になるが武藤はこれが初出場のミャンマー。
「まだ調整不足のこの時期、ベテランに未開の地はキツい」と今までは用心する部分がありこの2年は前週のシンガポールのあと、すぐに日本に帰っていたが、3年目に一念発起。
「せっかく大会を開いて下さっているのだから」と、スポンサーのご恩に報いたい気持ちもあり、先週からの連戦を決めて本当に良かったと武藤は感じている。
会場入りするなり冠スポンサーのレオパレス21の深山英世社長に、「よく来てくれた」と大歓迎を受けて感謝の思いがいっそう増した。
24日水曜日のこの日は本戦前日のプロアマ戦でも、一緒に回るゲストのみなさんへの個別レッスンにも、おもてなしに力が入った。
「社長も今年はぜひ、日本人選手が優勝をと願っておられるので、僕も頑張りたい気持ちで一杯」。
いつもキャディバッグにつけている群馬県のマスコット「ぐんまちゃん」を新しいのに付け替えるのが毎年、新年の恒例行事だ。
「こないだ変えたばかりなのにこの2週間の暑さで、ぐんまちゃんも一気に日焼けしちゃいそう」と、武藤の群馬愛はハンパない。
故郷では、大雪による二次災害も懸念されており、「そんな中でも自分が頑張って、せめて良いプレーを見せられたら」。
灼熱のミャンマーから、雪を溶かすくらいのホットなプレーを届けられたら。