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RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント 2019
2日目に、比嘉一貴に届いた松山からのLINEは短く「ナイスプレー」。その真意は
「それで、監督に拾ってもらった」。
いったん、プロ入りを見送り阿部靖彦・ゴルフ部監督の誘いで、東北福祉大に進学。
「伝説のOB、伝説の先輩たち。優しくしてもらった。あの4年が、今につながっている」。
特に当時、比嘉の3つ上で君臨していたのが松山英樹だった。
大きな大きな出会いだった。
「何をすればこの人を越せるんだろう…。いくら全力で僕が走ってもまだまだ追いつけない存在」。
大学卒業時に日本ツアーのQTに失敗して落胆する比嘉に、アジアンツアーへの挑戦を勧めてくれたのも松山だった。
岐路に立ったとき、松山は比嘉にいつも、より厳しいほうの道のりを示した。そして比嘉もそれに結果で応え続けた。
ルーキーイヤーの昨春はアジア二部ツアーの優勝に続いて国内二部のAbemaTVツアーの1勝、同年の日亜W初シードも、あえてイバラの道を進んできたからこそ掴んだものだ。
今週2日目に、63を出して首位に立った際にその松山から届いたラインメッセージは短く「ナイスプレー」。
その一言に、強い思いを汲み取った。
「”これで勝てないと、お前この先ないぞ”に聞こえて…。気が引き締まったと言うか、まぁ、良い報告してやろうって気になりました」。
松山は、アマ時代も含めて国内8勝。
「でも、松山さんが勝っていないこの大会で、勝てたのは嬉しいです」と、強心臓は冗談めかしてカラリと笑った。
この初勝利で、賞金ランキングは8位に浮上。
10月には、松山がすでに出場の意思を示した日米共催&日本初開催の米ツアー「ZOZO選手権(10月24〜27日、千葉県・習志野カントリークラブ)」がある。
さらに、来年には五輪がある。
「東京開催なんて、僕が生きているうちにはもう無いんだろう。難しく厳しいですが、チャンスはゼロではない。チケットも買えなかったし見るよりも、やる側を目指して。今年あと1勝か、トップ5を外さないように成績連チャン」。
実現すれば、偉大な先輩とも同じ舞台で戦える。