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ANAオープンゴルフトーナメント 2019
2年越しの連覇ならず。池田勇太は「カッコいいところを見せられなかった」
特に後半は、4連続を含む5バーディ、1イーグルで意地の猛追。
最終ホールは「最後にカッコつけようと、スプーンをドライバーに持ち替えたら、どチーピン」と、あまり存在すら知られていない左の池に入れたが木々の間から、ドローボールでグリーン左のラフまで運んだ打ち直しの3打目は、見事だった。
1.5メートルのボギーパットをしのいで上ってきた池田を、惜しみない拍手が迎えた。
「カッコいいところは見せられなかったが、出来る限りのことはやれてよかった」。
先週、開幕前に滑って負傷した左足。1週間の休養でも完治には至らなかった。
この日も「痛みがなくできたのは、最初の3ホールだけ」。
傾斜地で踏ん張ったり、グリーンで屈んだり、そのうちやっぱり痛みはぶりかえした。
「何もしないでじっとしているのが一番」と医師には告げられたが、池田にやめるという選択肢はなかった。
2勝を誇る。愛する輪厚。大好きな北海道が大震災に見舞われ、昨年大会は中止に。
当地の被害が気がかりで、直後にすぐ被災地に入った。
今年2月には、練習仲間の正岡と塚田を伴い激震地の厚真町(あつまちょう)を見舞い、子どもたちとの触れ合いの時間を作るなどしてきた。
先週末には関東を襲った台風15号で、寸断された交通網をかいくぐって9日・月曜深夜に道入りすると、JGTOの大会PR動画の撮影に応じて「いつもと違う一面を見せることで、少しでもギャラリーが増えてくれれば」。”役者業”でも奮闘。傑作も、出来上がった。
いよいよ本戦では復活初年度こそANA契約プロの自らがプレーで地元を盛り上げようと、一昨年に続く大会連勝を誓ったが、万全の体勢ではなかった。
「…足が痛くなければ、もっと伸ばせたかな?」。
ちらりとよぎったが、今年はこれで精いっぱい。
「今できる最大限を、やったつもり」。
まずは完治につとめ、輪厚での3勝目もひとまず来季に持ち越しだ。