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日本オープンゴルフ選手権競技 2019
藤田寛之は、予定通りに船を出します
50歳のベテランは、先週の「ブリヂストンオープン」で右往左往した。2日目を終えて2位タイ。そのまま大会は台風19号による中止が決まった。
2週後に控えていた「ZOZOチャンピオンシップ」は、同大会の上位3人に出場権があった。
「きゅうきょ自分も出れる〜って、なって…」。
今年6月に2級の小型船舶免許を取得した藤田は開催の同週に、購入した12人乗りのクルーザーを自ら操り、伊豆へ一泊二日の釣り旅を計画していた。
だが、ZOZO出場の一報を受けて慌ててキャンセル。
「マリーナに電話したり、なんだり…」。
対応に終われたが、すっかり根回しが済んだころに、実はZOZOには出られない、という連絡が…。
「僕もちゃんと、出場資格を把握してなかった」。
たとえ、大会の上位3人でもタイの場合は賞金ランク上位の選手が優先だった。これにより、優勝した今平と共に、同スコアで2位タイに並んだ4人のうち、権利を得られるのは大槻とハン・スンスの2人だけだった。
藤田は惜しくも出場権を逃した。
「それが先週、中止が決まってから2時間くらいの出来事でした。またすぐに予約を取り直して…」と、苦笑。
そんなわけで、次週は予定通りにマネージャーやトレーナーらを乗っけて船を出す。
その前に、今週は地元福岡で大物釣りにもトライする。
12年の賞金王で、ツアー通算18勝を誇るが5年シードの日本タイトルはまだ。
特に、この日本オープンは親子の悲願でもあったが、今年4月に父親の寛実さんが死去。
08年大会以来の会場となる古賀ゴルフ・クラブは、東区香椎(かしい)の実家から、車で15分もかからない。
「前回は、十数年前。まだオヤジも元気だったから。確かビールかなんかを飲みながら、ハーフくらいはついて歩いてくれた感じだったかな」。
父親との思い出が詰まったコースで50歳での大会初制覇なら、1963年の戸田藤一郎氏の48歳を抜いて、史上最年長Vだが「今はもう、昔みたいにガツガツした気持ちにはなれない。毎週のトーナメントと変わらずに、やっていく感じになると思う」と、心静かに初日を迎える。
「オヤジのためにゴルフをしているわけではないし、オヤジもそういう戦い方を、望んではいないと思う。一生懸命やって、自然とそういう形になれれば。ただ頑張る姿を見せるだけでも喜んでくれると思うので…」。
開幕前日のこの日、16日水曜日は久しぶりの里帰りで仏壇に線香をあげにいくそうだ。