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日本オープンゴルフ選手権競技 2019

藤田寛之のコースメモが難しさを象徴

東区香椎(かしい)の実家は、コースからすぐ。地元福岡出身の
ベテランが、イーブンパーで堪えて上がってきた。
真っ赤に充血した目でポツリと「疲れた…」。
初日は早朝7時38分から出た藤田寛之も、難コースと格闘してきた。
「早起きと、古賀と、今日のプレーと。歳ですね」と、50歳から切ないため息もこぼれた。

出だしの10番からいきなり冷や汗かいた。
右のバンカーからの3打目。「手前のピンは、下りで止まらないかも」と警戒しすぎて飛びすぎて、逆側のバンカーへ。
大ピンチの4打目は、これを直接沈めてチップインパーで回避をしたが「このコースでとてもこれを4日間続けられるとは思えない」。苦笑いの幕開け。

14番では、左のラフから刻んで、75ヤードを1メートルにつけて再び薄氷のパーを拾った。
17番パー3は好ショットのティショットがグリーンをはねて、奥の泥地まで飛んで、ボギーを打った。
折り返して後半、3番のボギーはせっかくフェアウェイから打った2打目が、木の根っこまで飛んだ。

常に冷静沈着で、几帳面なA型だが各ホールの攻略のカギを記した今週のメモ書きは、「傾斜がありすぎて。ぐちゃぐちゃです」。
特に形状とラインを記したグリーンの立体図は「なるべく細かく把握できるように」と、練習ラウンド時に、手前からラインを読んで、今度は横から読んで、最後に奥から読んでも、「それぞれ”表情”が全然違う。反対側から読んだら、全面が下りに見えたり」。
そのすべてを書き込むから、ついにメモ図はこんなふうに、傾斜を示す線で、隙間もなく埋め尽くされた。
「これを見てもらえれば、止められるところはグリーンの外だって、分かってもらえる…?」。

混乱する頭を悩ませながらも苦心に苦心を重ねて初日は、なんとか上々の滑り出しをした。
開幕前日の16日水曜日はここから車で約15分の実家に30分滞在。今年4月に亡くした父親の寛実さんにお線香をあげて、独り住まいの母親と、卓を挟んでコーヒーをすすり、慌ただしく辞すると貝塚市に取った宿まで約3.5キロの道のりを、ランニングがてら走って帰った。
今なおひたむきな努力を続ける50歳が、地元で奮戦中だ。

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