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三井住友VISA太平洋マスターズ 2020
首位獲りは天の授かりもの 小斉平優和を奇跡が後押し
ホストプロ2年生の小斉平優和(こさいひらゆうわ)が、2R最後の窮地を幸運でしのいだ。
18番のパー5。右ラフから大シャンクをした7Iの2打目は、派手な金属音を響かせると、こつぜんと消えた。
ない、ない、…ない!!
なんで??
まるで神隠しにあったみたい。
同伴選手やキャディほか、居合わせた十数人のスタッフで、大捜索も見当たらない。
あっという間に3分ルールの制限時間が迫った。
「小斉平(こさいひら)さん、あと1分です」。
競技委員の声に、弾かれたように猛ダッシュ。
そこら中を駆け回り、最後の捜索に賭けたが「打ちなおして、ボギーで上がろう…」。
腹をくくったその時、今度は天の声がした。
「ありました!!」。
いったい、どんなからくりで、そんなところに乗ったのか。
ボールは、20メートル超のテレビ中継用のやぐらの上。
頂上のテレビ台から、3段下がったところの”踊り場”で見つかった。
テレビクルーが撮影を中断し、数段はしごを下りて発見。ボールを落としてくれた。
ボトリ、と重い音で幸運は降ってきた。
「やっちゃった、と思った。ボールが見えなかったので、焦ったけど、テレビ塔に当たっていなければ池でした。ラッキーだった」。
ロストボールもまぬかれた。
無罰でドロップし、120ヤードから3オン。1.5メートルをしのいで、2パットのパーでおさめた。
駆け付けたVIPに、拍手喝さいの出迎えを受けたが、「最後にやらかすのが自分らしい…」と恥ずかしそう。
恩人らの前で、ドタバタの首位獲りに照れた。
2年前から大会主催の「太平洋クラブ」の所属プロ。米二部のコーンフェリーツアーに参加した今年は、日米を行ったり来たりと3度の隔離を経ながら、18試合をこなして先月に帰国。
今月は開催1週間前からホストコースに入って、調整を重ねてきた。
女子プロの申ジエさんも、同社契約プロとして活躍中だ。
「自分も、やってやろうと思っている」。
空から降ってきた奇跡の首位獲りを、生かさない手はない。