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東建ホームメイトカップ 2021
1年の計は開幕戦にあり。新人の金谷拓実がプラン通りのシーズンV2
20-21シーズン2勝目、アマ時を含めて通算3勝目を挙げた。
大会3日目の第3Rが中止となり、54ホールの短期決戦を制した。
優勝賞金1950万円(規程の75%)を加算し、賞金1位に躍り出た。
1打差の単独首位で迎えた最終日の朝。
スタートの2時間ほど前に会場入りした金谷はレストランに向かうと、まず先輩プロやスタッフに律儀に挨拶に回ってからちんまりと着席。
注文を済ませると、ポケットから取り出したのは、スマホではなくコースメモ。
食事が来るまでしきりにページをめくって思案顔。
「昨日も時間があったので。ゲームプランを立てていました」。
雨風の予報が出ていた。
「風が強いとあったので。最初の2日間と逆の風で、印象も変わる。ヤーデージブックを見ながら考えていました。後悔がないように、しっかり準備をしていた」。
攻略の指標としたのは、まだアマ時代に出場した2016年大会という。
「その時も風が強い印象が強かった。それが生きたのかなと思います」。
記憶を手繰った入念な予習を元に、最後まで冷静にプレーを進めた。
2位と3差で折り返した後半の10番から連続ボギーを叩き、アマの中島さんに1差に迫られた。
「ピンチもあったが、粘り抜いて勝つことができた」。
勝負の分け目は、先に打った同組の木下と、中島さんが揃って右の池に入れた17番。
「前のホールと風向きが変わって。2人ともいいショットを打ったと思うんですけど、思ったより違う方向から吹いて池に入った。自分は、それを見て打てた。もし自分が先だったら右に流され自分が池に入ったかもしれない」。
勝機を逃さず、3打目のアプローチを1.5メートルにつけて、突き放した。
先週は、大学先輩の偉業に心が震えた。
「本当に感動して…。もっと頑張らないとという気持にさせていただいた」。
大会2日目の夜は、思いを直接伝えることにした。
「松山さんに、電話をさせていただいた」。
改めてマスターズの祝辞を述べる中で、「オリンピックは一緒に出ようぜ」と、言われたという。
「本当に頑張りたい」。
6月の代表選考までに、松山→今平に続く日本勢の3番手から、逆転の代表2枠を本気で狙っていく。
また2シーズン統合の今年、ルーキー賞金王なら2013年の松山に次ぐ史上2例目。
おのずと、世界トップ50も夢ではない。
「もちろん狙っていきたい。とにかく、どの試合も優勝目指して頑張ります」。
勝利を重ねるごとに、あとからあとから目標が湧いてくる。