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Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 2021
両手いっぱいの思い出をどう活かす? 木下稜介が復帰戦
前日水曜日にプロアマ戦のハーフターンを待って出た、イン9ホールが「2週間ぶりのラウンドでした。ずっと自宅の鳥かごの中で過ごしていたので。芝生の上から打つのも、本当に久しぶりです」。
この日の開幕までに回り切れなかったアウト9ホールは、ぶっつけ本番となるが、改造後のコースは今年3月に参加したプロアマイベントの記憶が頼りだ。
「傾斜の感覚とかつかみ切れていないですけど、徐々に慣れていければいい」。
賞金ランク2位の木下稜介が、復帰初戦のスタートを待っている。
海外で過ごした約ひと月間の、みやげばなしは尽きない。
初メジャーを経験した7月の全英オープン(59位)は、「今まで浴びたことがない声援を浴びた。プロゴルファーをやってて良かったな」と、病みつきになった。
「もう一度、味わいたい。そこを目指して、またやりたい」と、再戦を決意。
一方で、8月最初の米WGCフェデックス・セントジュード招待(43位)については「打ちのめされた」と話す。
6月の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」でツアー初Vを飾って出場資格を得た。
「初優勝が一つの壁だと思ってクリアできたけど、世界を経験して、もっと高い壁があるなと感じた」。
飛距離もそうだが、木下が痛感したのは100yd以内の技術の差。
慣れない芝質に、「食われたり、突っかかったり、フェースに乗らずに転がってしまう。練習ではチョロしたり、日本では、したこともないようなミスをした」と、苦戦。
「でも、向こうの選手は、そこから2回で上がる確率が、すごく高い。ティーショットを曲げてもレイアップして、そこからパーをとってくるとか。そういう力がすごい」。
中でもその週、東京五輪から戻ってきてすぐ2週連続のプレーオフを演じた松山英樹は「めちゃくちゃカッコよかった」。
とっくに最終日のプレーを終えていた木下は、車で5分ほどの宿で「シャワーでも浴びようか」と、すっかりくつろいでいたそうだ。
でも、松山はあれよと首位との9打差を追いついた。
「そんな場合じゃない」と、急いでまたコースに帰って最後まで観戦。「見ている自分が一番緊張した」と、目に焼き付けてきた。
別れ際には「早くアメリカに来て一緒に頑張ろう」と、声をかけられ「本当に嬉しかった」という。
火曜日の練習ラウンドでは、一緒に回りながら悩みを色々聞いてくれた。
「食事もしてワイワイ楽しく。色々話せる仲なので。同級生でラッキーだと思う。彼のプレーオフを現地で見ることができて。同級生でよかったな…」。
また、必ず向こうで会いたい。
「どうしたら、もう一度あのフィールドに戻れるか」。
日本に帰ってもそればかり考えている。
「国内で出れる試合で頑張って。世界ランキング50位以内 を目指して。日本では賞金王を目指して」。
ここからまた、ひとつずつ道筋をつけていく。