メジャー級とも言われる高速グリーンで病いを癒やす。
堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)がボギーなしの「63」。
9バーディを記録して、「本当に久しぶりに人間らしいパットができた」と、本当に心底、安堵した。
「もともと得意。ライン読みもかなり得意」と自負するパッティングに最初に異変を感じてからもう2年近くになる。
「テイクバックを上げて、フォロースルーの時に意図しない動きが出る」というのはいわゆる、ゴルフの代表的な病気。
「イップス」というやっかいなしろものだ。
人によって、症状は様々だが饒舌なYouTuberは説明も的確だ。
「雰囲気は、フォロースルーの途中でいきなり水の中に入る感じ。右手がスムーズに動かないからフェイスをグラグラさせて打っている。1メートルの登りがカップ1個右に行ったりする」と悩みは深い。
多くは精神的なものが影響する言われるが、そもそも動かない手を無理に動かそうとするから過剰に反応してとんでもないところに飛んで行ったり、その残像がまた、次の恐怖を呼び込んだりする。
でも、「パットをやらないわけにはいかない」。
他のクラブと違ってパターそれ自体の替えはきかない。
中尺タイプに合わせて「何十本も変えた」と、堀川もいうように、どんな形状を使うにしろ、パターを抜くわけにいかない。
「なんとか、解決するしかない」と、気長に取り組んできた。
「息を吐きながら打ったり、目線を変えてみたり、なんなら目をつぶって打ったりとか。押すと引くのイメージとか、グリップ、ストローク…。やれることはなんでもやった」。
その中で今も継続している対策は3つ。
「まだ明確ではないから。内容は言えません。まだナイショにしとこうかな…」と具体策は懐にじっと温め、「症状が出てしまうのはしょうがない。最小限に抑えられるように。状況に応じてチェンジ、チェンジ、チェンジ…で、回りきることを目標に」。
片山晋呉が「マスターズより速い」と言った。
誰もが手こずるABCの高速グリーンをむしろ荒療治に「本当に凄くきれいなグリーンなので。今週は読めればほぼ入る。今日はほぼ納得のパットができた」と、回復の兆しを3日目の大量アンダーにつなげた。
通算13アンダーで迎える最終日。
「かなり今回はいい方向に行っているのでもしかして、ワンチャンいけるんじゃないか。このまま直せれば嬉しいです」。
2019年の「トップ杯東海クラシック(現・バンテリン東海クラシック)」以来となる最終組でのラウンドが、完全克服の鍵を握る。
「練習では打てる。あとは試合で、緊張した場面でできるかどうか」。
ツアー初優勝を5年シードで飾った「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」以来の通算2勝目が一番の膏薬になる。