また必ず戻る!
藤田寛之のシード落ちが決定した。
現役選手としては、片山晋呉と並ぶ最長の連続賞金シードは、23シーズンで途絶えた。
シード権争いの最終戦にあたる今大会を、賞金ランク70位で迎えたが、予選の2日間を終えて通算2オーバーの99位タイ。
予選落ちを喫して、大会の終了を待たずに終戦した。
首位の堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)が通算15アンダーまで伸ばしたこの2日間で、藤田が獲れたバーディは、わずかに3つ。
「パーを中心に、バーディ寄りか、ボギー寄りかと言ったら、どうしてもボギー寄りのゴルフになっちゃう。バーディ合戦になると正直、今のゴルフで追いつけない」。
ゴルフ人生最大のスランプに陥ったという今年。
師匠の芹澤信雄や、弟弟子の宮本勝昌を頼っても、ついに打開には至らなかった。
「プロになって、スイングがここまでずれたことはなかった。直せないで終わったのも初めて」と、混迷を極めたまま敗戦。
今大会で、1歳上の谷口徹が、賞金シードを失い片隅で涙を流したのは2年前。
「シード権は、プロゴルファーの勲章だと思う。僕も日本のゴルフ界のトップの場所で、自分の居場所があることに、幸せを感じてきた人間。谷口さんの涙はよく分かるし、胸に響いた」とついに今年は同じ思いを味わい、余計に共感は増す。
藤田は、涙こそ流さなかったが初日から、同組で回った宮本に、最終ホールでハグされ「後半、泣きそうでした」と、言われた。
「別に引退するわけじゃない」と、笑って言ったが「近い人のことを思うと、谷口さんになっちゃいそう」。
クラブ工房を乗せた各メーカーのバスは前日初日に撤収するが、藤田の契約先のヤマハのスタッフさんは、この日も残って、プレーについて歩いてくれた。
「最近、トレーナーに体の痛みと一緒に心の痛みも取ってくれ、と冗談で頼むんですけど、ずっと見守ってくれる人たちに、良いゴルフを見せられなかったのは辛い」。
2014年までに積み上げた18勝のうち、40代から12勝を重ねて43歳で賞金王に。
マスターズにも初出場を果たして中年の星と、羨望を集めたが「目標を一つずつ、下げていかないといけないというのは悲しいですね」と、苦笑いをした。
それでも、「僕が頑張ることによって、同世代や上の人たちから励みになる、という声も聞くので、頑張りたいなというのもある 」と来季は、1シーズン適用の生涯獲得賞金ランキング25位内の出場資格を行使して復活を目指す。
「年齢的にも苦しいものがありますが、なんとか自分で立て直していかなければいけない。芹澤さんにもお力を借りながら、本来の自分のゴルフがしたいな、と思います」と、切実だった。
そのほか、今大会の予選ラウンド終了をもって、シード落ちが決定した選手は19人(下記一覧)。
特に、長期シードを続けていた選手の中では、12年から8シーズン続けた藤本佳則も、大会を通算3オーバーの102位で終えて陥落が決まった。
来月7日から4日間の日程で、宮崎県のトム・ワトソンゴルフコースで行われる来季の出場権をかけたファイナルQTへのエントリーは済ませたが「行くかどうかは未定」と、話した。
なお、外国籍の選手には、新型コロナウィルスによる入国制限保障が適用され、各選手の状況によって後日、来季出場可能な試合数が決定されることになっている。
<予選ラウンド終了時点のシード権喪失者>
・G・チャルングン(公傷による特別保障制度申請)
・藤田 寛之(生涯獲得賞金 25 位以内の資格保持)
・J・クルーガー(2019 年優勝者の資格保持)
・J・ジェーンワタナノンド(2019 年優勝者の資格保持)
・塩見 好輝
・D・ブランスドン
・梁文冲(リャンウェンチョン)(公傷による特別保障制度申請)
・B・ケネディ
・M・ヘンドリー
・R・ジョン
・M・グリフィン
・P・ピーターソン
・崔虎星(チェホソン)(2019 年優勝者の資格保持)
・姜庚男(カンキョンナム)
・金庚泰(キムキョンテ)(2019 年優勝者の資格保持)
・B・ジョーンズ(2019 年優勝者の資格保持)
・藤本 佳則
・朴相賢(パクサンヒョン)(2019 年優勝者の資格保持)
・W・J・リー