チャックも全開。
2014年覇者のヒロシこと岩田寛が後半ハーフの「31」で通算9アンダー、首位と2打差の単独2位に浮上した。
3差の3位で3日目の最終組に入ったこの日は前半ハーフで2バーディ、3ボギー。
9ホールのオーバーパーで折り返して「ほんっとにイライラしてた。今年いちばんくらいに」と、久々にカッカして、折り返した10番で赤面した。
専属キャディの新岡隆三郎さんに言われた。
「チャック開いてるよ」。
「…早く言ってよ」。
さかのぼれば早朝。
前日2日目に残した第2ラウンドの3ホールを回ったときからきっと全開だった。
「ライン読んでるときとか。ぱっくりいっちゃってたかもしれない…」。
スタートからぴったり密着したフジテレビのカメラで全国に生中継されたかもしれないと思うと「ほんっとに恥ずかしくて」。
急いでチャックを閉めると怒りも冷めた。
「落ち着いて、悪いなりにもいかに崩れないでやるか」。
一転、エンジン全開した。
11番から長めのパットを沈めて連続バーディで差を詰めると590ヤードの15番パー5で名誉挽回のイーグルも出た。
7Wを持って、289ヤードの2打目を3メートルに乗せてチャンスを入れると次の16番パー3では右手前のカラーから、今度は15ヤードをチップイン。
チャックを閉じたあとから5つ伸ばす猛追につなげたが、「今はチャックで頭がいっぱい。ほんとに恥ずかしかったので…」。
ここ富士桜にコースが移った2年目の2006年に大会初出場を果たしてからトップ10が7回。
2008年には大学後輩の藤島豊和にプレーオフ負けした。
今週2日目の18番グリーンは、その際と同じ位置にピンが切られていたといい、よぎるものがあったという。
2014年には念願の初優勝で歓喜も味わった。
またコロナ前の2019年には朴相賢(パク・サンヒョン)に2打差で破れて大会2度目の2位に。
今年も、再び立ちはだかれ「サンヒョンは安定して崩れなさそう。今日の感じだと、厳しい…」。
喜びも悔しさも、恥ずかしさも交錯する思い入れの舞台でヒロシが3年前のリベンジを思案する。