輪厚に無類の思いを注ぐ。
大会2勝の池田勇太が初日をボギーなしの「64」で飛び出した。
「今大会が復帰戦。18ホールの中で、幾度となく体のことを考えながらプレーする中、きちっとアジャストして打てていた」と、後半12番から3連続バーディも奪った。
「僕の中では特別な思いがある輪厚で、そしてANAオープンで、こういうスタートが切れたというのは凄く気持ちが踊ったね」と、最後18番では111ヤードの2打目をピン横にくっつける会心のバーディ締め。
「復帰戦の初日にこういうプレーができたのは凄く嬉しかった」と、初日から駆けつけた応援団の拍手と歓声に身をゆだねた。
「(ゴルフが)仕事なので。よほどのことがない限り、試合は休みたくない。この2週間はもどかしい。凄くいやだった」。
先週まで2大会の不本意な欠場は、「左半身ほぼ全部」の故障が原因だった。
最初に左首痛を発症した先月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」は「首が動かなくなったがやりきった」と、執念で完走(40位タイ)。
次の「Sansan KBCオーガスタ」は強行出場で、予選敗退した。
「フジサンケイクラシック」と「Shinhan Donghae Open」は苦渋の思いで欠場し、治療に専念した。
復帰を決めた今大会は、2010年に最初の大会Vで「勝って初めて泣いた試合」。
敬愛するジャンボ尾崎の7勝に追いつきたいと、2017年に2勝目を飾り、大地震で開催中止となった2019年は、震災直後にすぐ現地に入り、コース近隣の被災地を見舞った。
コロナ禍で、2020年に2度目の中止を経て、3年ぶりに有観客での開催が実現した今年はケガを押しての出場だ。
「怖さがあったり、多少の痛みがあったりしたけどゴルフ場からも、応援してくださっている方々からも力をいただいている。やってやろうという気持ちになった」と、さっそく好発進で報いたが、喜ぶのはまだ早い。
「予想以上に良いスタートですけど、この代償は絶対にある」。
プレー後も全力でケアにつとめて大会は5年ぶりの3勝目と、自身3年ぶりのツアー通算22勝目に賭けている。