右小山にへばりつくようなグリーンの左側には、恐怖の崖。
過去51回の歴史で数々の悲劇や奇跡を生んだホールで、桂川のティショットは木になった。
右に飛んだボールはおそらく松の木にひっかかり、落ちてこなかった。
「だいぶ探したんですが、見当たらなくて」と潔く、ティに戻って打ち直しのティショット。
「変なことをするよりも、同じイメージのほうが」と先のミスショットと同じ6アイアンで、今度は確実にグリーンの真ん中を捕らえた。
前の15番まで、前週最終日の最後2ホールから数えて53ホール連続ボギーなしを続けていた。
「意識はしていました」と、2パットのダブルボギーで途切れたのは勿論、残念だったが「そんな簡単に行かしてくれない。そんなもんなのかな…」と、次の17番では「そんなに考えることもなく、さらっと。気持ちはパーに近い感じ」と、もうすっかり忘れて新たなプレーに集中。
鋭いライン出しのティショットでフェアウェイを捉えて9アイアンで奥ぴったりにつけて確実にパーを拾うと、最後18番は、フェアウェイから171ヤードの2打目を7アイアンで「凄い良い当たり」と、ピンそば1メートルのバーディ締め。
最後に改めて、地元名古屋の応援団を沸かせた。
この日、79歳で亡くなられたアントニオ猪木さんの訃報はプレー後のスコア提出所でスタッフから聞いた。
「新日(新日本プロレス)を見始めたのが高校1年くらいで、過去の映像はあまり見たことはなかったですが、オカダカズチカさんがよく、またリングに上がってください、というお話をされていて。僕もそういう気持ちはありました」と追悼し、「16番では(猪木さんの)ビンタがあったのかもしれない。気合いを入れてもらって最後もバーディが獲れました」と、プロレス界のレジェンドに感謝と敬意を表した。
大量リードは守れたが、この日を教訓に、「今日の16番みたいに何があるか分からないコースなので」と、気を抜かない。
「初出場の大会なので。勝ち方が分からないけどやるしかない。この3日間と同じ感じで伸ばして行って、ぶっちぎる感じでいかないと攻略できない」と、燃える闘魂を決意。
最終日も難攻不落で1、2、3、ダーッ!!