この日は、事前に仕入れた情報が、むしろ土曜日のプレーをしづらくした。
「ピンポジションが厳しいことは、スタート前から聞いていた」と、警戒感から「チャンスもわりとありましたが難しいラインに残すことが多くて。考え過ぎて、ポジティブな戦略ができなかった」と、攻めあぐねた。
前半の5番で手前4メートルのチャンスを2メートル弱オーバーさせた。
「自分ではそれほど打ったつもりはなかったのに。そこから、ピンの向こうが下っている恐怖感が出た。打ち切れなくなった」と、余計にブレーキがかかってこの日はバーディ3つに対して、ボギーが2つ。
思うようにスコアを動かすことができずに「未熟だな…」と反省した。
以前のナショナルオープンは、シビアなセッティングに対して、まずはフェアウェイに置いて、ミスを極力減らしてイーブンパーが鉄則、というような風潮があった。
しかし、「最近のチャンピオンをみると、けっこう積極的に攻めてくる」。
比嘉の記憶に新しいのは、2019年のチャン・キムのプレーだ。
「僕はセーフティに回ってましたが、ドライバーを積極的的に持ったチャンが結局勝ちました」と、思い出す。
首位を走る大学後輩は、その典型だ。
「蝉川選手は本当に積極的に、攻撃的なゴルフをしますので」。怖い物知らずで築かれてしまった6差はきつい。
「正直、追いつこうと思って追いつける差ではないかなと思います」と、正直に明かしたが、今季3勝目を飾った9月の日亜韓「Shinhan Donghae Open」では5打差を逆転しており「もう追いかけるしかない、というところで、このコースは上手くいっていても何が起こるか最後まで分からないと思うので。自分は自分のゴルフを貫いて、序盤から少しでもプレッシャーをかけたい」と、自ら奮起を促した。