「ナショナルオープンの場でプロが勝つことが威厳だと思っていた」という悔しさをこらえて「歴史的快挙。それに見合う素晴らしいプレーを蟬川選手はしましたね。本当に凄いプレーでしたね」と、称えた。
最終日は蟬川さんの「73」に対して比嘉は「69」。
タフを極めたコースで唯一、4日間とも60台のアンダーパーである。
しかしそれでも負けた。
通算8アンダーは、最初に立てたプラン通りであった。
だが、一時は8差を許した蟬川さんにけっきょく最後は2打、届かなかった。
「試合の前に自分が予想していた以上のことは出来たと思います。ただ、それ以上のプレーが必要だったのか」。
いくつかある痛恨の中でも、15番の連続バーディで、3差にした直後の16番だ。
「最悪のミスを避けてしまった」と約130ヤードから、左のピンに対して右に乗っただけ、みたいなショットになってしまった。
「あそこでプレッシャーを与えることができなかったのは大きかった」と、悔やむ。
「練習して、得意としているはずの距離でピンを狙えなかった。左に出さなくてはいけなかったんですけど、その1、2ヤードに打つ自信がなかった」と失望しながら「とはいえピンが難しいですからね…」と、苦笑。
「悔いは残りますけど、もう1回打っても結果は変わらなかった、とも思います。それが今の実力なのかな」と、思いが行ったり来たり。
「積極性に必要な自信と、ロングゲームの上手さは蝉川選手の方が僕より上。ドライバーを持つ自信と思いきりの良さなど僕の方が学ぶ事が多かったかなと思いますね」と、改めて後輩に脱帽した。
「今の僕の実力では今のゲームプランは変えられない、というところでポテンシャルと、ロングゲームの差が出てしまった結果」と、観念していた。