その伊能さんが地元高知県出身でプロ16年目、開催コース所属の片岡大育(かたおか・だいすけ)と、2020年「日本オープン」以来となる再タッグを組む。
久しぶりの再会で、片岡がしみじみと実感するのはなんといっても伊能さんの底抜けの明るさだ。
「ほんと、その場の雰囲気をとっても良くしてくれる人なので。ゴルフに集中できる」と、開幕前日のプロアマ戦からさっそく噛みしめる。
伊能さんのどこでも良く響く声も心地よい。
「ロッカールームの中からでも聞こえてきます。どこにいても伊能さんいるな~って分かりますから」と、一緒にいると自然と笑顔になれることも、伊能さんを頼りにする理由のひとつだ。
ツアー3勝を誇る片岡が、原因不明の顔面神経麻痺で戦列を離れたのは一昨年前。
やっと復帰を果たした昨夏、今度は伊能さんが新型コロナウィルスを発症。
自宅療養中に急変し、緊急搬送されたという。
運良くすぐに処置してもらえたが、間質性肺炎を併発し、一歩違えば危なかったと医師に言われたそうだ。
無事、退院できたがその後も少し歩いただけで息が上がったり、右肩が痛くて上がらなくなったり、いわゆる後遺症で、しばらくキャディどころでなかったという。
「伊能さんにまた担いで欲しいと思っていましたけど、無理はさせられない」と、今度は片岡が伊能さんの復帰を待つことに。
やっと本調子に戻ってきた今、今週のホスト試合に合わせて再タッグの運びとなったが、まずは伊能さんの体調を第一に考え、今回は担ぎではなく初の電導カートにトライ。
体への負担は軽減されるかわりに、最初は不慣れなリモコン操作に悪戦苦闘の伊能さん。
「さっそく今日、僕引かれそうになりましたよ」と笑い、「プロアマのお客さんは引かんとってね」と、そんな愉快な会話もこのコンビならでは。
プロ3年目の2010年からコース期待の所属プロ。
「まだ、ここで結果を出せてないんですけど、たくさんの方々がずっと応援してくれている。感謝の気持ちをぶつけるつもりで、今年も良いプレーを目指すだけ」と、片岡。
隣には、頼りになる相棒もいてくれる。