「僕への質問も、競技者としてのもの。向上心もあって、すごいポジティブで、本当に楽しそうにゴルフをされる。その気持ちを僕らも忘れてはいけない」と、プレー後に話していた。
ほかに、リオ・パラ五輪の走り幅跳びで銀メダルを獲得した山本篤さんや、北京パラ・スノーボードで8位入賞の大岩根正隆さんらが出場し、ゴルフ競技でも、トップアスリートの風格を見せた。
今年1月に、PGAのティーチングプロ資格を取ったという吉田隼人さんは、23歳のときのバイク事故で右足を失ったが、リハビリで始めたゴルフで今や障がい者ゴルフ世界ランキングの日本人トップ。
2028年のロス・パラ五輪でのゴルフの正式種目に尽力している。
新規大会の名称にある「チャレンジド」は「障がいを持つ人」を表す英語「the challenged」に由来し、「挑戦するチャンスや使命を神様から与えられた人」が語源。
障がい者を「与えられた使命をもち何事にも挑戦する人」として、ポジティブに捉えた言葉という。
8日のプロアマ戦には、まさにトップ・チャレンジドが集い、プロゴルファーたちを大いに刺激した。
「プロの方と、障がい者ゴルファーの方が触れ合うことで、互いに向上するきっかけになれば」と、麻生健・大会実行委員長。
大会主催の大会主催の株式会社麻生の「麻生グループ」は、ゴールボールや車いすマラソンなどパラスポーツを長く支援してきた背景があり、創業地の福岡県飯塚市では車いすテニスの世界大会も開催。
麻生・大会実行委員長によると「ここのタクシー運転手さんはほとんど、車いすの方を車に乗せられる」という。
障がい者の方々との共生、共存が当たり前のように根付いたこの地で主催者が改めて「プロゴルフ」と「チャレンジド」を融合したのは、「プロゴルファーの方が、応援される側から応援する側になることで、大人になると実感しにくくなる自身の成長を可視化し、刺激を受けることで、次のさらなる成長につなげていくお手伝いができれば」との願いをこめて。
開幕前日のこの日8日はチャレンジドのプロアマ戦と同時に、隣のコースでプロゴルファーとチャレンジド・キッズが一緒に楽しむ「スナッグゴルフ体験会」も開催。
新・選手会副会長の小田孔明と、同・事務局長の宮里優作を筆頭に矢野東、片岡大育、石川遼、桂川有人、清水大成とコース所属の小林丈大(たけひろ)が、特別支援学級で学ぶ地元の小・中学生112人と、触れ合った。
前日6月7日に44歳になった小田は、地元飯塚市の出身で、コースまで車でわずか10分。
「ホテルでは熟睡できなくて、目覚ましをかけなくても5時には目が覚めるんですけど、家では寝れる」と、この日は人生初の朝寝坊でヒヤリとしながら、開会式では子どもたちにも誕生日を祝福されて「こういう素晴らしい大会を、自分の地元で開催していただけることが嬉しい」と、噛み締めていた。
この日は出場8プロと共に、地元の麻生看護大学校の生徒さんたちもお手伝いで参加してくださった。
子どもたちにも、未来の看護師さんたちにも一番人気だった石川。
自身が中学生のころ、バレーボール選手の学校訪問で「異次元のサーブ、スパイク」に感激した思い出を振り返り、「自分もゴルフでそういう体験をさせてあげられるのなら嬉しいし、地域の人たちと触れ合えるのは、ゴルフツアーならでは。こういう機会が増えれば僕らもすごく有難いし、スナッグゴルフなら、初心者でも一緒にできる。子どもと触れ合う架け橋にもなっている。有難いな…」と、チャレンジドな新規大会に、開幕前日からさっそく感謝しきりだった。