今回の勝者の儀式は、三谷拓斗キャディが代わりに全部、水浴びした。
このあと、新米のホストプロにはもっと大事な儀式が待っていたからだ。
半田晴久・ISPS会長が主演をつとめる野外舞台を選手揃って観劇するのが大会恒例だが、勝者が来ないと幕が開かない。
その後のスケジュールを考えて、駆けつけた仲間はみんな遠慮したのに、先輩所属プロの中西直人がひとり禁を破ったが、ペットボトル1本分だったのでそれほど濡れずに済んだ。
インターネットの生中継と、優勝会見も囲み取材で慌ただしく済ませて急いで合流。
観覧席に着くなり大雨が降り出したが、レインコート姿で静かに舞台に集中した。
祭りとゴルフの融合をうたう今大会ならではのVシーン。
演劇の閉幕後に行われた“勝って兜の優勝杯”をかぶる表彰式では、優勝直後のパフォーマンスに続いてもういちど、リクエストに応えて大好きなプロレスとゴルフを融合。
右手に兜、左手で目を見開き、内藤哲也さんのキメポーズで写真を撮った。
プロレスを初めて観戦したのは中2のとき。
「自分はゴルフをしてましたが、何か惹かれて。体を張って戦う姿に刺激をもらっています」と今年1月も東京ドームで観戦した。
「新日本プロレスのエンターテインメントはすごい。みんなニックネームやキャラクターを持っているので、ゴルフもあったらいいな思う」と、興行性でも参考にしている。
「どちらかというと、おとなしい性格」と、自己評価する。初の最終日最終組でも柔らかな笑顔と物腰を貫きながら、4日間で奪ったバーディ数は30個。24の大量アンダーを記録した。
内藤さん所属のプロレスラーのユニット名にも由来する、「制御不能」のゴルフでプロ2季目の初優勝をさらった。
中学卒業後の3年間は、フィリピンで単身ゴルフ留学。「いろんな方に支えていただいたので、感謝の気持ちが強くなりましたし、技術も上達できた。ゴルフ人生において、一番のターニングポイントだと思っています」。
内藤さんもメキシコでの武者修行後に、今の地位を築かれたそうだ。
「今ではプロレス界で一番人気に近いと思うので。自分と照らし合わせるところがある。すごく勇気をもらえます」。
これからは、自身がゴルフ界の一番人気を目指して歩いていく番だ。