「左打ちなので、プッシュ気味を嫌がって、捕まえにいきがちだったのを、昨日から元のイメージに戻すというのをやり出した」と、怪物コースで課題に専念したら、前半6番からあれよと3連続バーディが獲れた。
ルネサンス高校時代に出場した石川遼・主宰のジュニアマスターズで1オーバーを記録して「とても嬉しかった記憶がある」という富士桜。
コースの特性に、左打ちの不利は感じない。
「ものすごく難しい。ドライバー曲がると深いラフに入るので、フェアウェイキープが必要」と右打ちと同様の攻略セオリーに徹して、バンカーから5メートルに乗せた17番と、4メートルを沈めた最後18番で連続バーディ締め。
「67」で回り、気がついたら2打差の3位につけていた。
「ストーカーみたい。つきまといました」と、金谷拓実(かなや・たくみ)を追いかけ回したのはつい先週、「Sansan KBCオーガスタ」の火曜日だ。
8月最初の「日本プロ」時にメーカーさんを介して“予約”してあった練習ラウンドが実現。
「頭がよくて、プレーのメリハリがしっかりして、凄い選手」と、羨望のラウンドは、本戦以上にストイック。
「喋られるのはインターバルくらい」と、練習時もプレー中はほぼ無言で集中。プレー速度も本戦時と変わらず、「金谷さんと同じ場所から練習したくて。必死でついていくんですけど、追いつけない。どんどん先行っちゃう」と、一人追いかけっこ。
見て真似て、必死で良さを学び取り、「本当に、凄く勉強になることばかりでした」と、感謝したすぐ翌週に、最終日最終組で首位の金谷を追いかけることが決まり、「ほんとに、ストーキングですね」と、目を丸くした。
生後2ヶ月で心臓を手術し、体に負担のないスポーツをと、そのまま利き手の左でクラブを握った。
ファイナルQT9位で出場資格を得た今季、開幕戦「東建ホームメイトカップ」の2日目に大会コース新の「61」を記録。
2位と9差の単独トップに立ち、最終日もV争いの末に5位タイに入っており、現在賞金ランキング25位でほぼ初シードも確実だ。
「蛮勇」の「勇」に「策略」の「策」が「勇策=ゆうさく」の由来だそうだ。
尊敬する金谷を逆転し、プロ3季目の初優勝なら、1991年「ダイドードリンコ静岡オープン」の羽川豊氏以来のレフティV。
「明日も、そんな簡単に伸ばせるとは思えない。自分のできることを最大限に活かして頑張りたい」。
最終日も金谷につきまとう策。