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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2023

鍋谷太一の夢は正夢か。

鍋谷太一(なべたに・たいち)は初シード選手として迎えた今季、開幕から3週連続の予選敗退を喫した。



パターのライ角が、2度曲がっていることからくるストロークのずれが原因だったことが分かり、すぐ修正。

復調の兆しが見え始めたころに、今度は腰痛を発症。

「踏んだり蹴ったり。けっこう、考え込むタイプなので。眠れない的な夜を経験して」。

自身が初優勝を達成する夢を見るようになったのも、その頃。


「優勝した夢って、いいと思うじゃないですか。でも起きた瞬間、最悪なんですよ。優勝した瞬間、試合に出れると思った瞬間、ベッドなんですよ。マジかよ、みたいな」。


大阪出身。りゅうちょうな関西弁トークは展開にもよどみがない。
「そういう日々が、はじめのころはあって。でも頑張るしかないし、乗り越えるしかない。やることをしっかりやって、努力を続けて、絶対結果はついてくると思って、それでダメだったら自分が下手なだけだと思って。そういうマインドでやって、とりあえず1年いろいろあったんですけどキャリアハイ」。


5度のトップ10で、賞金ランキング23位はすでに昨季の45位をとっくに抜いて、自己ベストを更新中だ。

「シーズン前に、JT(ゴルフ日本シリーズJTカップ)に出ることを目標にして。クリアできることは良かった」と、次週も楽しみにしていた。

今時分は、毎年QTで、来季の出場権を追いかけるのが、年末の恒例だった。
「9回出ているんですけど。QTってJTと同じ週にやっているので。そこでJTの結果を見ながら、違う舞台でゴルフをしている悔しさがありましたが、そこで満足したくない」と向上心を発動しつつ、「もっと上に行きたいけれど、上の22人と自分との差を感じる」。


蟬川泰果(せみかわ・たいが)との3日目の同組でも「体の部分であったりとか、ショットの精度であったりとか。そういうのをこのオフの間に少しでも強化して、成長していけたら」と、課題の模索を始めたところで、願ってもない好機が来た。


2日連続の強風下で前日の2日目から「67」と「68」とで上昇。最終日は、賞金レース中の金谷拓実(かなや・たくみ)らと自身3度目、今季初の最終組に入った。

「優勝して、来週行く、という新たな目標ができた、それを達成できるようにしたいです」。
いつか見たあの夢は、正夢か。

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