豪州のケネディ(49歳)に次いで、同い年のパグンサン(フィリピン)と共に、2番目の最年長として4年連続で大会に入った。
今年の出場者の中では、最多を誇る15回目。
記念の60回大会では、 2010ー21年の藤田寛之以来、2人目の3連覇がかかる。
「みんなそういうけどさあ、そんな簡単じゃないのよ。このメンツでさあ・・・」。
今年の出場平均年齢は、29.9歳。
「なんか・・・、若すぎるでしょ。毎年、若くなってるでしょ。その中でまた勝てたら、そりゃ嬉しいですけど、なかなか厳しい・・・」と、弱音ばかりが溢れ出てくる。
先週、賞金王を決めた中島啓太は23歳。
「安定感が素晴らしい。毎回トップ10、優勝争いに絡んでくる。金谷もそう。そこが刺激し合って、ただ、あとの選手がなかなかついてこれずに・・・というのが外から見た展開でしたけど、フレッシュな若い人たちが毎試合、毎試合、優勝争いしているのを見ているのは、面白かった。ああ、なんか良い時代だな~って、嬉しかった」って、なんか視線がお父さんみたいだ。
「“お父さん”でしょう! いくつ違うと思ってる?」。
自身もかつてはレースを争い賞金ランキングは2位が2度。
全英オープンで5位に入るなどした2006年は片山晋呉と競い、2016年は、池田勇太とバチバチしたが、戴冠には届いていない。
「もうないっしょ」と笑い、「悔い? ないですそんなの。全力でやって、それでどちらが上回るかだけだから。それはそれ。時の運」と、あっけらかん。
欧州・DPワールドツアーを制して、新人賞に就いた久常涼(ひさつね・りょう)の偉業も「あれは彼のポテンシャル」と喜ぶけれども「今から自分も、とはならない。出してくれるならば行くけども」と破顔一笑。
06年には米ツアーを転戦し、18、19年には自身も欧州ツアーを回ったけれども、それももう、谷原の中では過去の話になりつつある。
本大会を初制覇した昨年は、国内では年18試合に出たが、今年はさらに14試合にとどまった。
特に今夏は丸々2ヶ月の夏休みを取り、家族サービスにいそしんだが、その直前の6月、選手会主催大会「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」で1勝を飾り、さらにロングバケーションから帰ってきてすぐ9月の「ANAオープン」で2勝目。
効率Vの秘訣は「頑張りすぎないこと」。
若い子たちについていこうなどとはもってのほか。
「良い意味で、雑に。適当に。自分にプレッシャーをかけすぎないこと」。
もちろん、20代のころは、とてもそんな心境ではなかった。
「若いときのほうが不安要素がむちゃくちゃあって。不安だからがむしゃらやって、延々練習して、上手くなりたいとかしか考えなかった」。
あの頃があるから、今がある。
「経験値は、若い子たちよりある。プレッシャーのかけ方も、逃げ方も知っていますし、そういうのがなんとなく上手くいってるのかな?」。
先週も、あえて1週休んで本大会へ。
「3試合続けて出るのはもうきつい」。
しゃかりきにならずとも、攻略法は嫌と言うほど知っている。
「一番難しいといっても過言ではないコースで、アイアンショットをグリーンのどの位置につけるか。それが鍵」。
45歳の合い言葉は、「なんとかなるっしょ」。
でも実は、そう言い切ることこそ一番、難しかったりもする。
・・・と以前、1歳上の近藤智弘(こんどう・ともひろ)も言っていた。
だから谷原秀人(たにはら・ひでと)は強いのだ、と。