中でも、大阪府出身の鍋谷太一(なべたに・たいち)は群を抜く。
なんといっても関西弁がコッテコテ。
それだけでも聞き応えのあるコメントは、どれも秀逸。
先週の「カシオワールドオープン」で、プロ初優勝を飾ってからますます舌好調だ。
もちろん、ゴルフも絶好調。
火曜日の練習日は、前週のV争いでヘットへト。
「連勝なんてムリ」と言っていたのに、ふたを開ければ初の難コースでボギーなしの「65」で回って、首位と2打差の3位タイにつけていた。
最後、18番パー3ではバンカーから寄せて1.5メートルのパーパット。
「強く打ったら、カップに蹴られて2メートルは行ってまう。弱いかな、と思たけど。ヤバいかな思たけど、うわー思たけど・・・」。
動揺をひた隠して無事、パーセーブ。
「クールに見せながら、内心はめちゃくちゃ。そういう人生」と、ぱしっとオチもつけた。
初のシーズン最終戦で「5ホール目までは先週の最終日よりも緊張していた」というのは、「同組で回れるのは特別」とまで言う、石川遼の存在が大きい。
石川の2007年の史上最年少優勝をテレビで見たのはまだ11歳のとき。
以来、石川は鍋谷の中でヒーローとなり、自身も関西学芸高校2年の16歳で、早々にプロに。
「憧れの人なので。きょうは緊張しました」と、内心を押し隠して3番から4連続バーディ。勢いに乗った。
スタートの1番ティで、大ギャラリーに向かって感謝をこめて深々敬礼しながら「心の中ではオレも見てや~、と。遼だけちゃうで~と、思てました」と、有限実行の好プレーで、尊敬する先輩を凌駕。
「僕なんか、内容はまだまだ」と、謙遜しながら好発進をしてみせた愉快な27歳だ。
初優勝して大号泣した先週は、同時に中島啓太(なかじま・けいた)の賞金王が決定し、鍋谷の感動シーンを取り扱うニュースの紙面は中島より少なかった。
「それは、もうね。賞金王は凄いですし、僕の初優勝なんか・・・」と、気にしていないふりをしながら「親族は、何人か怒ってましたけど」と、コメントにジョークを混ぜるサービス心も忘れない。
「うそうそうそ」とすぐ否定したしりから、また「僕もちょおっと・・・腹立ちましたけど」と、わざとコメントをグルグルさせて、ひと笑いをさせたのちに「逆に自分がもっと上を目指せ、ということ。今週、僕はまた勝てば、きっともっと取りあえげてもらえる」。
日本勢としては、初優勝から2週連続優勝を達成した選手はまだいない。
快挙で今度こそ、紙面を飾れるのは間違いない(多分)。