2016年4月14日の熊本大地震で、震度7を観測した益城町(ましきまち)の出身で、当時はちょうどシーズン開幕戦の大会初日と重なった。
安否を気遣いながら、同郷の重永亜斗夢(しげなが・あとむ)と、偶然にも同組ラウンドで首位に並んで、ちぎれる思いでV争いしたのも7年前。
「この日だから、と感情移入することはもうない」と、言った。
「あの日が消えることはないから。それがあって以降は、常に上に向かって頑張るだけ」。
この日だから特別なのではない。
常に故郷を心に抱いてプレー。
前日初日の後半8番では、58ヤードの2打目を直接入れた。
「一緒に回った3人とも良かったので。みんな寄ったな~と思ってグリーンに行ったら、僕の1個だけボールがなかった」と、イーグルを獲った。
スタート前の練習場から兆しを感じ、「ドライバー持って、フェアウェイ捉えて、グリーン近くまで持って行ければチャンスがある」と、関西ならではのトリッキーなコースでティショットを刻んだのは2ホールだけ。
自慢の飛距離を駆使して攻めていき、16番ではOBダボも打ったが、補ってあまりあるバーディ量産。
「64」の7アンダーで、新人の宇喜多飛翔(うきた・つばさ)と肩を並べた。
今オフ、後輩プロの小鯛竜也(こだい・たつや)が、益城町の児童養護施設にお米を寄贈してくれることになり、永野も寄贈式に臨んだ。
「そうやって、今も仲間が気に懸けてくれることが嬉しい」と、噛みしめる。
「故郷のために頑張る」などと、大それたことは言わない。「今年の目標は初優勝」などと、掲げるタイプでもない。
「目標は・・・決めないんですよね。追っかけても追っかけきれない。逃げていくから」と、苦笑し「ただただ、毎日一生懸命やるだけです」。
ひたむきな背中で見せる。