第2ラウンド最後の18番。
同組の片山晋呉(かたやま・しんご)が、金谷拓実に(かなや・たくみ)と肩を並べて「早く世界で勝つところを見せて!」。
ツアーは通算31勝、過去5度の賞金王にかけられた言葉は重い。
「はい」と、神妙に頷いた。
片山は、かねてより「大好きな若手選手のひとり」と、公言するなど、デビュー前から金谷を推していた。
今週は、初日から2日間を共にし、「プレーから、海外で活躍するんだという強い気持ちが伝わってくる」と、改めて50歳のベテランに、大きな期待を抱かせる金谷の好プレーだった。
初日の「62」に続いて前日2日目は、3番と12番で2度の連続バーディを奪うと、16番から3連続締めの「65」。
通算17アンダーまで伸ばして早くも2位と4差の一人旅。
完全優勝で、アマプロ通算4勝目を飾った先週の「BMW日本ゴルフツアー選手権」の初日から首位を続けてもう6日目。
金谷の快進撃が止まらない。
目下、秘訣は一に睡眠、二に睡眠。
「昨日(木曜日)は、夜10時に寝て、8時まで寝ました。昼寝もしましたし、ゆっくり休む時間がありました」。
寝る子は育つ。
今年2月のアジアンツアー「インターナショナルシリーズ オマーン」も含めた通算5勝目のうち4回が逃げきりVだ。
昨年の今平周吾に次ぐ2週連続優勝の可能性にもまた近づいた。
ちなみに、3週連続で共に優勝争いすることになった中島啓太(なかじま・けいた)が金谷の選手として手強さを、「不気味」という表現で賞賛したことについては「・・・褒めてないですよね?」と冗談交じりに苦笑しながら、「ケイタくんとプレーするのはいつも楽しいので。明日もとても楽しみです」と、微笑む。
かつての日常が、完全に戻りつつある昨今、金谷がお客さんに向かってあげる手が、いっそう高くなった。
2020年のプロ転向時は、トーナメントの開催中止も相次いでいた、まさにコロナ禍のまっただ中。
プロ最初の試合も無観客開催だった。
「ずっとお客さんがいませんでしたけど、だんだん、ギャラリーの方にもプレーを見てもらえるようになって。声援もいただけるようになったので、大きな仕草じゃないと伝わらない。聞こえていますよ、という合図です」。
週末も、伸ばし合いは必至。
土日も、また何度でも金谷は手を上げる。