初マスターズからの初戦でもある。
比嘉一貴(ひが・かずき)は事前の練習ラウンドで、馴染みの仲間たちから「おかえり」と歓待を受け、「みんな応援してくれていたんだな、と。嬉しかった」と喜びながら、「4日間、できれば良かったんですが・・・」と改めて、マスターズでの予選敗退を悔やんだ。
「でも、その中でも良い経験や、上手くプレーができた部分もあった」。
一番は、なんといっても練習ラウンドだった。
会場入り日の月曜日からすでにパトロン、と呼ばれるギャラリーが1万人越え。
「それがいちばんびっくりしました」と、本番前から緊張を味わい「そのおかげで、本戦では思ったより自分を見失わずにできた」と、免疫をつけられたのは大きかった。
「みんなぶつかるところと思いますが、飛距離だったり、それに直結するスピードだったりが必要だな、と。求められるものが違う。それをどうやって克服していくか。これは長い悩みになる」と、終わりのない課題も突きつけられた。
初の大舞台から1週間。
「次はどうプレーをするか。また、あそこに戻りたい」と、もうオーガスタが恋しくなっている。
「今年は特別招待を頂きましたけど、これからまた1年結果を残して、世界ランクを上げて。今度は自力で出場権を取りたいです。どうやったらまたあそこでプレーができるのか。考えていきたいです」と、頭を巡らせる。
今週は、その足がかりとなる大事な一戦だ。
コロナ禍の1年延期で「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント」と、各ツアーの単独開催で行われた昨年大会で、大会主催の半田晴久・ISPS会長と懇談する機会があり、「ヨーロッパと一緒に試合ができるのはどう?」と聞かれて、「もし優勝できたらヨーロッパに出られる。嬉しいです」と、即答。
「頑張ります」と、健闘を約束していた。
その年末に、賞金1位の資格で欧州ツアーの資格がもらえることが分かって喜んだが、現状ではまだ、出場が約束された試合は限定的だ。
すでに出場が決まっている全米プロや、全英オープンを挟みながらの欧州転戦は、日程繰りが非常に厳しく「もしかしたら、日本ツアーは今年、これが最後になるかもしれない」と、覚悟もしているだけに、「今週は、コースを知ってるので一番勝てる試合。勝てれば、そのあとのスケジュールも立てやすくなる。勝ちたい気持ちが強い」と、ホーム開催に賭けている。
昨年、奈良で行われたアジアと韓国の3共催「Shinhan Donghae Open」も、「日本で開催される以上、勝ちたい」と、開幕前から言い続けて、5差の大量逆転でツアー5勝目(現在は通算6勝)を飾った。
18日火曜日の公式会見でも「日本ツアーの代表という気持ち。いまめちゃくちゃ調子が良いわけではないが、期待はできる。JGTOの代表として優勝したい」と、熱く語った。