「大事な記念なんだから、もっと笑いなさいよ!」と、やじを飛ばして、永野にじろりとにらまれていた。
2013年から日本ツアーで戦うヨンハンが、初めて一緒に回った日本人選手が永野だった。
以来、ときどき一緒に食事をしたり、ヨンハンが悩んだときに相談したりと、友情を深めていった。
ヨンハンが3日目まで首位を走った昨年大会も、3日目の最終組で共に優勝争いを繰り広げたが、ヨンハンは最後2位、永野は5位に終わった。
ちなみに永野に限っていえば、2021年大会では、当時アマチュアの中島啓太(なかじま・けいた)にプレーオフで敗れて2位に終わっている。
直近なら、先週の「ANAオープン」も最終日を首位で出ながらまた2位。
初Vに挑み続ける永野の気持ちはヨンハンにも痛いほどわかる。
「僕も初優勝(2016年SMBCシンガポールオープン)までたくさん2位を経験したし、2勝目(2023年Sansan KBCオーガスタ)まで時間もかかりましたので…。苦しかった」。
でも永野から、ゴルフに関する弱音や愚痴を一度も聞いたことはない。
「たぶん竜太郎さんは、どうすれば勝てるか自分でわかっているんだと思う」と、察する。
「竜太郎さんは必ず勝つ。そして一度勝ったら何勝もする」と、ヨンハンは確信している。
自身通算7回目の2位に終わった先週についても「もちろん逃げ切れたら良かったですけど、相手もいることでコントロールは出来ない」と気丈に述懐し、「先週も4日間トータルでいえばよかったですし、今週もいい感じで出来ている」と、淡々と述べた永野。
決勝ラウンド初日の3日目もまた同じ組になった。
「竜太郎さんとは去年も一緒。今年も優勝争いできるのは嬉しいです」とヨンハン。
今月の韓国開催「Shinhan Donghae Open」ではヨンハンがデジカルビをふるまった。
来月の宮崎「ダンロップフェニックス」ではそのお礼にと、永野が美味しい宮崎牛をごちそうしてくれる約束になっているそうだ。