43歳の岩田寛(いわた・ひろし)が悲願のタイトル獲りへ。
通算10アンダーで、自身16度目の最終日最終組に割って入った。
岩田とともに、首位で並んだ金谷と小木曽の2人も含めて、2打差の5位タイでひしめくほか8人とも全員が20代。
「同じ舞台でやっているので年齢は…」とはいえ、プレー中もじっとスコアボードを凝視しながら「若い子ばっかりだな、というのはありました」と、ぽつりとつぶやく。
「けっこうひどいこと言われて。腹が立っているかもしれないです」と、振り返るのは40歳の声を聞くころに身に起きたこんな悲しいエピソードだ。
ある宿に宿泊したときのこと。
岩田がプロゴルファーだと聞きつけた支配人が、名刺をもってあいさつに来てくれた。
自己紹介し、年齢を聞かれたので答えたら、「いま引退されて何されているんですか?」と、聞かれたそうだ。
「38歳くらいから、そういうのはよくあります」と苦笑しながら「もう、そのホテルには泊まらないかな……」。
40歳を過ぎてから、3年連続の勝ち星を重ねているヒロシはちょっぴりメラメラする。
今季の全6戦で、ポイント制の「For The Players By The Players」でのトップ10が1回あるが、開幕戦での棄権が1。予選カットが3回と、不振を抱える。
「ドライバーも全部。要因がわからないないから、何していいかわからないし、不安でしょうがない。そういうのが続いている」と吐露するが、本大会は昨年まで18回出て、過去2度の最終日最終組は、2位タイから出て7位に終わった2008年と、単独2位から出て6位タイだった2010年とで過去2回。
3度目の正直を後押しするのは尊敬する大先輩のはげましだ。
「谷口(徹)さんから、今年はメジャーで勝てよというラインがあったので。今まで意識はしてなかったですけど、そういうのも意識してみたほうがいいのかな、と思います」と、岩田なりに気合を入れる。
「上位でやるのは久しぶりなので。すごく緊張するでしょうね、明日は…」と、いくつになってもV争いは慣れないが、最終日の秘策は「まっすぐ打って、グリーンに乗せて、パターを入れること」。
ごくシンプルに、通算6勝目を飾れば、2010年の五十嵐雄二(いがらし・ゆうじ)が達成した40歳283日の最年長Vを更新する。