プロ10年目の悲願を目指す小木曽喬(おぎそ・たかし)が攻略セオリーをしっかりと踏襲して戻った。
「宍戸は出だしをちゃんと獲らないと、難しい展開になっちゃう」と見込んだとおりに1番から3連続バーディ。
「そこをクリアできたので、気持ち的にもだいぶ楽になった」と、余裕を作って「中盤は我慢」。
難所の7、8、9番では描いたとおりに、立て続けにナイスパーセーブができた。
特に3メートルをしのいだ7番は「今日の中では一番大きい」。
要所で流れを切らさずに、「もうバーディがなくてもいい」と、潔く入った後半、最後の18番で207ヤードの2打目を、4番ユーティリティでピン右1.5メートルにくっつけバーディ締め。
「最後ああいう形でバーディになったので、よい上がりができたかな」。
岩田と金谷とともに、3人タイの首位獲りを成功させた。
先々週まで直近3戦で、予選敗退を喫したのはその直前に、自身2度目の最終日最終組に臨み、自己ベストの3位に終わった地元「中日クラウンズ」の経験があったから。
「トップから出て、負けて、やっぱり、こういう経験をもっとしないといけない。最後の優勝の1打を打てるチャンスを作っていかないと、優勝にはつながらない」。
ツアー初Vを目前にしたことでより「目標設定が高くなっていた」と、やる気と気合が空回りした感じがあった。
先週の「ミズノオープン」で、予選落ちが決まった瞬間、「スイング面で悪いところはこれだな」と察知もできて、翌週の空き週と、今週の練習日で、堀尾コーチと基本を見直し、「自分のノーマルが、だいぶずれていたのが分かったので。そこを修正したのがだいぶハマっていい感じになってきた」と、5年シードのタイトル戦で、4大会ぶりに再び初Vチャンスにこぎつけた。
JGTO主催の本大会は、過去23回中10人ものツアー初V者を輩出していることは、小木曽ももちろん知っている。
でも、本人の思いはあやかるとか、続きたいとか、そんなことよりもっと切実。
プロ10年目。
「なんでもいいから勝ちたい。早く初優勝したい」が偽らざる本音だ。
「メジャーですし、そこでまた最終日最終組を経験できるのは、自分のステップの中で大事な1日になる。その中でもしっかり結果を求めてやりたいです」。
福井工業大学附属福井高校3年の2014年に、日本勢として当時最年少の17歳115日で、「日本アマ」を制したタイトル保持者が、今度はツアープロの最高峰をにらんでいる。
※本大会でのツアー初V者
木下稜介(2021年)
堀川未来夢(2019年)
市原弘大(2018年)
塚田陽亮(2016年)
梁 文冲(2015)
竹谷佳孝(2014年)
小平智(2013年)
藤本佳則(2012年)
J・B・パク(2011年)
五十嵐雄二(2009年)