Tournament article
フジサンケイクラシック 1999
3日目、首位の桧垣繁正
ピンまで1メートルのパットを沈めてバーディを奪うと、3番ミドルで7メートル、4 番ロングで8メートル、7番ミドルは右手前7メートルから、9番ショートは右横3メートルにつけバーディ。前半ハーフで5つのばして一挙に首位に。
「先週、東聡さんに1時間以上もアドバイスしてもらって、その効果が出ています。今、『どんな距離も入れられる』というような、前向きな気持ちになれていると思う。
東さんのアドバイスは、非常に基本的なことです。ボクはパターするとき、右手首が中に入るくせがあるんですが、それを、アドレスのときに右手の角度を強くして、それを最後まで変えないように意識しなさい、といわれました」
後半、川奈崎灯台がシンボルの12番ロング(608ヤード)で、ピンまで残り40ヤードの第3打を直接カップインさせてイーグル。
が、15番ミドルは2打目、グリーンをはずしてボギーとしてしまう。18番ミドルでも、第2打でグリーン手前のバンカーに入れ、それを寄せきれず、ピン奥8メートルも残してしまった。
「入るわけない、思った」というパーパットは、最初こころもちフックラインを描き、最後にスライスラインに乗ってカップイン。パーで切りぬけ、通算11アンダー。 2位に3打差の首位で最終日を迎えることとなった。
3日目、首位の桧垣繁正 「18番セカンドは、『最後にバーディで締めくくりたい』と思って打ったら、1メートルほど距離が足りなくて、バンカーに入ってしまった。とにかく3パットは悔しい、とにかく寄せればいい、という気持ちでまっすぐ打ったら、ラインに乗って最後のひと転がりが入ってくれた感じです。あんな終わり方できるなんて、ついてますよね。
12番も、ラッキーでした。自分の位置から入ったのは見えなくて、『いい感じで打てたな』と思ってたら、周囲の人が『入った入った』って言ってくれて、わかったんです。
きょうは、プレーするのが楽しくてしょうがなかった。というのも、今年のオフに、昔の自分を振りかえって、これから自分の取り組みべきことを決めたんです。 1つ目は、アドレスの形。2つ目はバックスイングでクラブフェースがシャットになるクセを、出来る限りスクエアに直すこと。
3つ目はダウンスイングで、間を持たせること。これは、昨年のVISAで、ジャンボさんに教わったことなんですが…。
とにかく今年はあれこれ考えず、決めた3点だけ集中して、それが実践できたら良しとしようという考え方に切り替えたら、ゴルフをするのがとても楽しくなった。
これまで、いろんな人にいろんなことを教わるうちに、それが自分の中で消化しきれずに頭の中がグチャグチャになっていました。
ボクは小さいころから長いことゴルフをやってきているものですから、何か変えようと思っても、簡単には出来ない。
まして、ずっと試合に出ながらですから、その中で変えていくのは、とても難しいことなんです。
それでも変えようと必死になるから、ゴルフを複雑に考えすぎて、それこそ1日中、頭がゴルフのことで一杯になってしまっていた。でも、そうそう集中力は持たないですからね。そうなってくると、プレーすることさえ、なにか、面白くなくなってしまう…。
だから、オフに昔の自分のスイングビデオとか見て、変えるべき点を絞り、コースでの目標をシンプルに定めることで、欠点を克服していこうと思ったんです。
で、いったんコースを離れたら、ゴルフのことはひとまず忘れて、27歳の普通の『ニーチャン』になろうと(笑)。
そうしたら、ゴルフが面白くてたまらなくなったんです。こんなに楽しいのは、もしかしたらゴルフ人生ではじめてのことかもしれません。
明日は、色気が出て、『危険』ゾーンの15番あたりから、きっとプレッシャーとか感じちゃうと思うのですが、1日、楽しくできればいい。それで、アンダーパーを出して終われればいいなと思います。
2年前のヨネックスオープン(★注釈)など、いいところまで行って負けていますが、あのころより自分は確実に強くなっているはず。自信を持って明日は挑みたい」
★注釈:97年ヨネックスオープン
3日目、桧垣は通算13アンダーまでスコアを伸ばし、2位の尾崎直道と5打差をつけてツアー初Vを狙ったが、最終日に76と崩れて3位に後退。直道には結局、3打差つけられ優勝を逃している。