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カシオワールドオープン 2000
▼ トピックス「“東京のお父さん”に優勝を捧げたい」
今年8月、鈴木の恩人が亡くなった。
日大時代の4年間、お世話になった東京都・仙川ゴルフ練習場の経営者、田辺嘉一さんだ。
「卒業後もずっと僕のことを気にかけてくれて、“東京のオヤジ”と呼んですごく慕っていた人だったんです」
98年の札幌とうきゅうオープン以来、2年半、勝ち星から見放されている鈴木。
去年はシード入り後、初めて、その年の賞金ランク20位内と優勝者が出られる『日本シリーズ』の出場権を失った。
日本シリーズは、田辺さんがいつも足を運んでくれた試合。だが、昨年の低迷で、観戦さえ来てもらえなかったことが、ずっと鈴木の胸につかえていたのだ。
思い出の大会を来週に控えて鈴木は、「今週ぜひ勝って、田辺さんに“優勝”を持っていきたいんです」と打ち明ける。
2位と3打差つけてトップで迎える最終日。
「そんなに甘くない、ということはわかっている。でも、僕には田辺さんをはじめ、家族、所属先のミズノのスタッフと、見守ってくれている人がたくさんいる。明日はその人たちのことを忘れずにやりたいと思う」と言うと、鈴木の口元が、グっと引き締まった。